研究課題
脳卒中に伴い生じる嚥下障害は誤嚥性肺炎のリスクとなり、生命予後や転帰に大きく影響する。またそれは医療・介護費の増大にもつながる。そのため誤嚥性肺炎を未然に防ぐための評価と対策が重要である。申請者らのグループは、舌と硬口蓋で小型バルンを押しつぶして舌の力を測定する舌圧測定器を導入し、脳卒中急性期患者の低舌圧が肺炎予測になるとの報告を行なった。しかしながら、嚥下機序との科学的検討や臨床現場での具体的な展開に関する検証は行われていない。本研究は、脳卒中急性期患者の舌圧測定と同時に、嚥下評価のゴールドスタンダードである嚥下造影検査(VF) と比較を行う。具体的には、①物性計測した複数の検査食を用いてVFを施行し、舌圧値に応じた安全な食事形態の特定、②VFの時相解析を行い、嚥下メカニズムにおける舌圧の関与の解明、③脳画像診断を行い、脳卒中で障害された領域との比較により各種嚥下障害を引き起こす中枢領域の解明を行なった。342例を登録し解析を行なった結果、誤嚥には頭頂葉病変(オッズ比13.41、95%信頼区間3.66-49.18)、嚥下反射遅延には基底核病変(オッズ比2.37、95%信頼区間1.17-4.79)が関連しており、これらの病巣に脳梗塞を認めた際に、それぞれの症候が有意に起こりやすくなることが示唆された。本件等の結果を踏まえて、今後更なる検討を行うことを予定している。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件)
J Neurol.
巻: 268 ページ: 1025-1035
10.1007/s00415-020-10244-4.
Clin Exp Immunol.
巻: 200 ページ: 302-309
10.1111/cei.13430.
J Hypertens.
巻: 39 ページ: 2443-2450
10.1097/HJH.0000000000002575.
J Neurol Sci.
巻: 416 ページ: 116984
10.1016/j.jns.2020.116984.
PLoS One.
巻: 15 ページ: e023185
10.1371/journal.pone.0237185.
Sci Rep.
巻: 10 ページ: 16410
10.1038/s41598-020-73404-6.
巻: 15 ページ: e0239773
10.1371/journal.pone.0239773.
巻: 15 ページ: e0241205
10.1371/journal.pone.0241205.
J Stroke Cerebrovasc Dis.
巻: 29 ページ: 105303
10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2020.105303.