General Movements(GMs)評価の中でも最も神経発達予後予測に有用であるFidgety運動の判定を補助するシステムを構築した。研究当初の構想であった参照ビデオと判定ビデオを並列表示し比較判定する方法では、ゲシュタルト判断がかえって混乱し精度が上がらないことが明らかになった。そこで、並列表示ではなく、個人の判定精度を上げる補助ツールを作成し、判定の際は判定ビデオのみ視る方法に変更した。補助ツールは、判定者個人で様々なカテゴリーのビデオを反復判定演習を行うことができる。 本研究成果として映像教材を作成した。これはFidgety運動を強調したビデオや様々な判定カテゴリーのデモンストレーションビデオからなる。この教材を用いて学習した後に、1分間に編集した様々な判定の20個のビデオクリップで判定精度の調査を行った。調査の結果、本邦の評価実践者の評価制度は高くなかったので、さらに調査ビデオを用いた反復判定演習を行い、3カ月後の別の20個のビデオを用いたフォロー調査では大幅な判定精度の向上効果が確認できた。研究成果を学術誌にopen access化し発表した。 本研究で作成したDVD映像教材と2回の調査ビデオからなる、Fidgety運動参照システムDVDを作成し、無償で国内外の評価者や評価を志す人に配布することで、研究成果の社会への還元を行っている。研究を通じてWeb上で離れた評価者とも検討するシステムも構築し、本邦において持続的にfidgety運動判定が多くの評価者と連携して行える素地が整った。
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