研究課題
本研究は、低出力体外衝撃波の過活動膀胱に対する効果を検証する応用医学である。これまで、低出力体外衝撃波を使用するのに先立ち、加齢ラットを用いた膀胱、尿道機能障害の評価を行ってきた。電気生理学実験では、加齢ラットでは若年ラットと比較して膀胱収縮圧の低下、膀胱収縮時の尿道平滑筋由来の尿道弛緩反応、外尿道括約筋のオシレーション(HFOs)の減弱が見られた。さらに、外尿道括約筋筋電図では、尿道のbursting反応が減弱、弛緩不全の現象であるtonic反応の増強を認めた。薬理学実験では、尿道弛緩反応が減弱した加齢ラットに一酸化窒素(NO)のドナーであるsodium nitroprusside (SNP) 0.1 mg/kgを静脈内投与したところ、尿道弛緩反応の回復がみられ、酵素であるBAY 41-2272 1 mg/kg: solubule guanyl cyclase (sGC) stimulatorを同時投与するとさらに強い効果がみられた。これら新たな知見は、薬物に頼らない低出力体外衝撃波の効果のコントロールデータとなる。病理学的には、加齢ラットの膀胱組織において、酸化ストレスマーカーである8-hydroxy-2’-deoxyguanosine (8-OHdG)とmalondialdehyde (MDA)の増加が見られた。また、ラットにくしゃみをさせる腹圧性尿失禁評価法にて、脊髄のオピオイドu受容体作動薬を投与すると尿禁制反射が増強、オピオイドu受容体遮断薬を投与すると尿禁制反射が減弱する新たな知見を得た。臨床的には、薬物抵抗性の過活動膀胱患者にneuromodulation効果のある仙骨刺激療法(SNM)を施行したところ、尿意切迫、膀胱容量増大効果がみられた。最終年度に、低出力体外衝撃波の導入予定である。
3: やや遅れている
低出力体外衝撃波は、イスラエルから輸入予定であるが、新型コロナウイルス感染拡大のため導入が遅れている。
1.疾患モデルとして、加齢ラット、膀胱内に0.1N塩酸を注入した間質性膀胱炎モデルを使用し、低出力体外衝撃波装置にて膀胱機能、尿道機能障害後の機能回復を確認する。2.疾患モデルにおける海馬機能を含む大脳の機能変化、低出力体外衝撃波装置による神経可塑性効果を検討する。3.臨床では、neuromodulation効果のある仙骨刺激療法(SNM)とボツリヌス毒素膀胱内注入を行い、臨床効果を検討する。
低出力体外衝撃波の導入が遅れているため、その分の予算執行がされていない。
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