研究課題/領域番号 |
18K10751
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
丸岡 弘 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80325985)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 疾患モデルマウス / 慢性閉塞性肺疾患(COPD) / 廃用性筋委縮 / 運動 |
研究実績の概要 |
【諸言】本研究は肺胞破壊の抑制、炎症や酸化ストレスの軽減、血管内皮機能や筋委縮の改善に対する介入として、運動や神経筋電気刺激などに着眼した。【目的】新たに慢性閉塞性肺疾患(COPD)の疾患モデルマウスに廃用性筋委縮を作出し、運動期間の違いが肺組織や炎症などにおよぼす影響を検討した。【方法】対象は野生型マウス(C57BL6)49匹を用い、運動期間の違い(4週間:4W、12週間:12W)などにより無作為に8群に区分した。全群は12週齢より開始し、先行研究を踏まえてCOPDモデルを作成、後肢懸垂による COPD廃用モデルを作成した。分析項目において生化学分析は、肺と筋組織をリアルタイムPCR法によりmRNA 発現量を検討した。また組織学分析は、一般や免疫染色により肺胞腔域などの形態的分析や肺胞マクロファージなどを検討した。【結果】生化学分析:肺組織において運動有群のTNF-αは、4Wと比較して12Wが有意な減少を認めた。また運動有群は運動無群と比較してIL-4やIL-13が有意な減少を認めた。組織学的分析;COPD廃用モデルにおいては、肺胞の線維成分の肥厚と腔域拡大を認めた。肺胞腔域面積において運動有群は、運動無群と比較して4Wと12W共に有意な縮小を認めた。炎症抑制マクロファージであるCD206において運動有群は、運動無群と比較して有意な高値を認めた。【結論】COPD廃用モデルに対する運動期間の違いは、肺胞腔域面積や炎症抑制マクロファージ、サイトカインに影響を及ぼした。【意義】本研究を通して、肺組織や炎症の観点から運動などの介入による改善過程を明らかにすることになる。運動などによる肺胞や炎症への効果を解明し、呼吸 機能や運動能力の向上に関する新たな知見について、基礎的データを呈示できる研究となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
酸化ストレスの変化を分析するためには、血漿による生化学分析と組織(肺と筋肉)の免疫染色(カルボニル化タンパク質免疫染色)によって検出する必要がある。また、酸化系酵素や筋線維形態の変化を明確にするためには、組織(筋肉)のATPase染色やSDH染色などを検討する必要がある。今回、マクロファージなどの免疫組織化学染色法の分析に時間を要してしまい、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
組織切片によるmRNA 発現量、一般や免疫組織化学染色法などにより、電気刺激により誘導される炎症抑制マクロファージであるCD206などの検出と分布動態、および酸化系酵素、筋線維形態の変化などについて検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が少額であるため、物品等の購入ができなかった。また、当該年度は、予定通り、実験試薬等の購入を進める。
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