研究課題/領域番号 |
18K10753
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
城戸 顕 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (70382306)
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研究分担者 |
赤羽 学 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (40326327)
池田 直也 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (20336861)
朴木 寛弥 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40336863)
高木 辰哉 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70317436)
酒井 良忠 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (90397802)
重松 英樹 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30623516)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | がんリハビリテーション / 骨転移 / 脊髄圧迫・病的骨折のリスク管理 / 身体活動量計測 / 生活スタイル / 身体活動維持プログラム / 新型肺炎 / ソーシャルディスタンス |
研究実績の概要 |
がん患者に対するリハビリテーションの有用性が報告され、がん治療の副作用軽減から生命予後の改善まで豊富なエビデンスが蓄積されつつある。一方で骨転移を有するがん患者に対しては、脊髄圧迫・病的骨折のリスク管理が大きな課題となり、そのリハビリテーション治療は消極的になりがちであり、コンセンサスが得られず質の担保されないリハビリテーションの温床とさえなり得る現状がある。申請者施設は2010年より全国に先駆け、骨転移に特化したキャンサーボード(CB)の設置運用を開始、骨転移に対し領域横断的な早期介入による病的骨折の予防や退院時ADLの向上、外来フォローアップシステムを確立しその成果を報告してきた。本研究はこのシステムを基盤とし、次の2点から未だほぼ明らかになっていない長期生存骨転移・骨腫瘍患者群の身体活動の現状を調査、高いレベルの身体活動維持リハビリテーション・プログラムのモデルを開発・検証する、これまでに類を見ない新しい試みである。(1)骨転移を有するがん患者、悪性骨腫瘍患者の身体活動量計測と生活スタイルの把握。当院骨転移外来にてフォローアップを受ける骨転移を有する患者及び原発性骨腫瘍患者を対象とし、加速度計を用いて身体活動量を計測、生活スタイルを明らかにする。身体活動の内容、運動強度及び質(内的生活への影響評価;唾液サイトカインによるストレス/免疫機能に関わる非侵襲バイオマーカー解析及び心理尺度評価)を行う。またイベント的活動参加機会についても聞き取りを行う。(2)高いレベルで身体活動量を維持する患者群の抽出とモデルの作成。身体活動量を高いレベルで維持できている患者群を抽出し、その活動内容を解析、運動強度と質の評価を基に、身体活動量維持のためのリハビリテーション・プログラムのモデルを作成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度計画に沿い対象患者の活動量計測を行った。対象は原発がん病巣の全身制御が得られ、かつ骨転移病巣の局所制御が1年以上得られている通院患者のうち、ほぼ日常的な活動の生活を過ごしているもの(ECOG PS=0,1)である(ワンアーム・前向き観察研究)。登録症例数は骨転移患者及び骨腫瘍患者合計20名を達成し追跡期間を1年間、診察日より最初の連続7日間に活動量計測を行った。追跡は、通常の診察日にて遂行した。また以下の各項目について無事計測できている。 観察・検査項目①身体活動量、活動の内容及び運動強度の評価。②運動の質に関する項目(FIM,Barthel index, がん性疲労、内的生活への影響の評価:非侵襲バイオマーカー解析、心理尺度評価)③その他(薬物療法による有害事象発生頻度など)。このうち、本年度は初期計画に沿い「身体活動量が高く維持できている群」を抽出、i)再度聞き取り(外来にて)及びii)第二回の活動量計測を行い運動強度及び質評価を再検、本データをモデルに在宅で日常的に行い得る「リハプログラムのモデル」の作成に入った。しかしながら、2020年に端を発する新型肺炎により患者の生活環境、研究組織における診療状況が一変し、ソーシャルディスタンスや(感染予防のための)生活制限を受けたデータが混在する現状となっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のごとく、本年度まで初期研究計画に沿い、身体活動量を高いレベルで維持できている患者群を抽出し、その活動内容を解析、運動強度と質の評価を基に、身体活動量維持のためのリハビリテーション・プログラムのモデルを作成する段階に入っていたが、2020年に端を発する新型肺炎の世界的蔓延により患者の生活環境、研究組織における診療(およびフォローアップ)状況が一変し、ソーシャルディスタンスや(感染予防のための)制限による生活スタイルのデータが混在する現状となっている。現在、登録時期によって新型肺炎の影響が出てないデータを分離、症例数を再検討の上追加データ取得と並行して現存データでの考察に入る。また(向後の感染制御の経緯によっては)モデルプログラムの試験実施も困難となるためオンラインでの患者聞き取り含め対応を準備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度まで初期研究計画に沿い、身体活動量を高いレベルで維持できている患者群を抽出し、その活動内容を解析、運動強度と質の評価を基に、身体活動量維持のためのリハビリテーション・プログラムのモデルを作成する段階に入っていたが、2020年1月に端を発する新型肺炎の世界的蔓延により患者の生活環境、特に本研究のテーマである長期生存がん患者の趣味的、娯楽的要素を含む活動の自粛および研究組織における診療(およびフォローアップ)制限など、ソーシャルディスタンスや(感染予防のための)生活制限が研究、患者聞き取りや解析遂行(頻度、項目数含む)を大きく減速させる要因となっている。
感染拡大抑止のために医療者としてなすべき事を徹底するとともに、現在、登録時期によって新型肺炎の影響が出てないデータを分離、また(向後の感染制御の経緯によっては)モデルプログラムの試験実施も困難となるためオンラインでの患者聞き取り含め対応を準備する。
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