研究課題/領域番号 |
18K10754
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研究機関 | 北海道千歳リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
森野 陽 北海道千歳リハビリテーション大学, 健康科学部, 講師 (00809460)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 咳嗽力 / 地域在住高齢者 / cough peak fiow |
研究実績の概要 |
咳嗽力の低下は誤嚥性肺炎の危険因子の一つである。咳嗽は咳嗽の誘発、深吸気と声門の閉鎖、圧縮、爆発的な呼気の4相から成ると考えられており、随意的な咳嗽力 (cough peak flow: CPF) は、咳嗽の誘発を除いた3相によるものである。CPFに影響を与える要因について、呼吸機能の観点から検討した報告をいくつか認めるものの、全身の筋力や身体活動も含めて検討した報告はほとんどない。さらに、CPFは重要性が高いにも関わらず、それを向上させるトレーニング方法は確立されていない。そこで本研究はCPFを向上させるトレーニング方法を確立することを目的としている。 平成30年度はCPFに影響を与える要因に関する研究を実施した。対象は65歳以上の地域在住高齢者とし、認知機能の低下のあるもの、呼吸器疾患、循環器疾患を有するもの、一秒率が70%未満のもの、近接3ヶ月以内に呼吸器疾患に罹患したもの、随意的な咳嗽が困難なものを除外した。基本情報 (年齢、性別、身長、体重、BMI)、咳嗽力 (CPF)、呼吸機能 (肺活量、一回換気量、予備吸気量、予備呼気量、努力性肺活量、一秒量、一秒率)、呼吸筋筋力 (最大吸気筋力、最大呼気筋力)、上下肢体幹筋力(握力、大腿四頭筋筋力、腹筋筋力)、身体活動、Friedらによるフレイル評価を測定した。 47名測定し、一秒率が70%を下回った1名を除外し、46名について解析を行った結果、CPFには、身長および腹筋筋力が影響を与えることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施自体に問題もなく、データ収集に若干時間を要したものの、概ね目標症例数を達成し、咳嗽力に影響を与える要因を明らかにすることができた。咳嗽力に影響を与える要因に関する成果発表は当初の予定より遅れているものの、大きな問題なく進行している。
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今後の研究の推進方策 |
地域在住高齢者を対象に咳嗽トレーニングについて、咳嗽自体を実施する咳嗽トレーニングと腹筋トレーニングの2種類を設定し、その効果を検証する予定である。 それと同時に咳嗽力に影響を与える要因に関する研究について、学会発表、論文発表を行う。 また、昨今、咳嗽力の研究も散見するようになってきているため、引き続き関連学会に参加し、情報収集を行い、より精度の高い研究方法を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
随意的咳嗽力に影響を与える要因に関する研究のデータ収集に時間を要したため、その成果発表としての、学会発表、論文発表に遅れが生じたたため、次年度使用額が生じることとなった。 次年度は成果発表ならびに随意的咳嗽力に関するトレーニングに関する研究に関連する物品に助成金を使用する計画である。
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