研究課題/領域番号 |
18K10754
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研究機関 | 北海道千歳リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
森野 陽 北海道千歳リハビリテーション大学, 健康科学部, 准教授 (00809460)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 咳嗽力 / 地域在住高齢者 / cough peak flow |
研究実績の概要 |
誤嚥性肺炎の予防の重要な要素の一つとして随意的な咳嗽力 (cough peak flow: CPF)がある。CPFの低下は誤嚥性肺炎の危険因子の一つである。 一方、咳嗽は咳嗽の誘発、深吸気と声門の閉鎖、圧縮、爆発的な呼気の4相から成ると考えられており、随意的な咳嗽力 (cough peak flow: CPF) は、咳嗽の誘発を除いた3相によってなされるものである。深吸気においては吸気筋の筋力が、圧縮ならびに爆発的な呼気には呼気筋の筋力が必要と考えられている。しかしながらそれらを客観的に明らかにした報告はない。 近年、四肢の筋力同様に呼吸筋筋力においてもサルコペニアが起こるという報告があるが、地域在住高齢者におけるCPFの報告は非常に少なく、CPFに関する観察研究を散見する程度である。介入研究はほとんどなく、CPFを向上させるトレーニング方法は確立されていない。そのため本研究はCPFに影響を与える要因を明らかにすること、さらにCPFを向上させるトレーニング方法を確立することを目的としている。 本研究では、2018年度はCPFに影響を与える要因に関する研究を実施し、CPFには先行研究で報告されていた呼吸筋筋力だけでなく、腹筋筋力も影響を与えることを明らかにした。 2021年度も2020年度同様にCOVID-19のため研究再開のタイミングを検討していたが、COVID-19のオミクロン株の変異による爆発的な感染流行が起き、スパイロメトリー、呼吸筋筋力評価、CPFの評価といった飛沫感染リスクが高いこと、対象を重症化リスクの高い高齢者としている本研究は感染状況を踏まえ実施のタイミングをうかがうこととなった。 研究1として実施した観察研究の「CPFに影響を与える要因に関する研究」に関してはデータ収集は完了しており、2021年度はその論文の作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度はCOVID-19の感染者数が減少したため研究を再開しようとしていたところ、COVID-19のオミクロン株の変異による爆発的な感染流行が起きた。 本研究はスパイロメトリー、呼吸筋筋力評価、CPFの評価といった飛沫感染リスクが高い研究であり、また対象者が重症化リスクの高い地域在住高齢者ということで、本研究は感染状況を踏まえ実施のタイミングをうかがうこととなったため研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は研究1の論文が完成に至らず、研究論文を校正に出すことができなかったため、実支出がなかった。また研究2が実施を見合わせているため、国際学会にエントリーできず、実支出がなかった。2022年度には研究1の論文校正、論文投稿に使用予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
SARS-CoV2感染症により研究の実施を見合わせており、論文投稿も遅れていることから、次年度使用額が発生した。今年度は研究1の論文投稿に関連し使用予定であり、研究2についてはSARS-CoV2感染症の動向により検討する。
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