研究課題/領域番号 |
18K10755
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
藤澤 宏幸 東北文化学園大学, 健康社会システム研究科, 教授 (20316425)
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研究分担者 |
鈴木 博人 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 助教 (50635430)
村上 賢一 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 准教授 (60433520)
鈴木 誠 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (90382697)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 着座動作 / 多目的最適化 / 安全性 / 効率性 |
研究実績の概要 |
2020年度は2019年度実施された「“座面材質”と“運動速度”が着座動作に与える影響」について再度検証した。昨年度と異なる点は,速度条件を変更した点,新たな解析方法を追加した点である。 測定条件は座面材質条件(木製,スポンジ素材),速度条件(普通,遅い,速い)の計6条件で構成され,各条件2試行ずつの計12項目をランダムに実施した。測定機器は三次元動作解析装置にて各反射マーカー位置を,床反力計にて撃力(FR)を計測した。データ解析では,座面に接地するまでの体重心(COG)軌道,COG移動速度を算出し,二元配置分散分析にて座面材質要因と運動速度要因の影響について検証した。また,効率性の指標として運動時間と運動距離で補正したJerk index,安全性の指標としてFRの最大値を算出した。 その結果,座面材質要因による影響は示されず,速度要因による影響だけが示された。そこで,木製条件に限定して速度条件毎を比較すると,普通速度条件のCOG軌道から遅い速度条件は下方へ,速い速度条件は後方へ逸脱するような軌道変化を示した。Jerk indexとFRには反比例のトレードオフ関係が示され,普通速度条件はこの2変数間を両立する一定の解集合を形成していた。したがって,健常若年者がとりうる着座動作は,椅子構造に関わらず効率性と安全性を両立した多目的最適化に基づいている可能性が示唆された。これは、重力方向への運動の特徴であると考えられる。抗重力方向への運動においては、速度条件が普通の場合には運動の経済性のもとに最適化されることが示されているが、重力方向の運動においては、自由落下が最も経済的である。ただし、それは撃力の増大など安全性に問題が生じるために、撃力と経済性の多目的最適化のもとに重心軌道および関節運動が形成されているのであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はCOVID-19の流行により,当初より予定されていた「“座面高”が着座動作に与える影響」について検証することが出来なかった。また,測定上の安全性(転倒)を担保する装置の作成に時間を要した。その一方で,「“座面材質”と“運動速度”が着座動作に与える影響」について再度検証し,着座動作の多目的最適化について明らかにした。そのため,2021年度は着座動作の危険回避運動の研究に着手する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は「“座面高”が着座動作に与える影響」を明らかにすることが目標となる。研究装置は作成されているため,感染予防策に十分配慮し,研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度はコロナ禍のために、研究計画の全てを実施できなかった。今年度は社会状況に応じて、適切な対応策のもとに予定通り研究を進める予定である。
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