パーキンソン病において、四肢の症状に比べて姿勢異常や姿勢反射障害は薬剤抵抗性であることが多く、その治療にしばしば難渋する。この体幹機能障害について、様々な治療法が検討されているが、未だ明確な治療法を見出すことができていない。体軸症状の治療が困難である背景に四肢と体幹の運動制御の神経基盤の違いがあるのではないかと考えている。そこで本研究では、(1)体幹機能障害の多角的評価法の確立と、立位時および歩行時の足底圧の解析によるバランス障害の評価法を確立したのち、(2)脳深部刺激療法(DBS)前後での体幹機能の変化を確認しそれにより、(3)姿勢・歩行に最適なDBS刺激条件を解明することにより、体軸へのアプローチを可能にすべく検討を進めていた。 (1)については2018年度に足底圧機能付きトレッドミルでの足底圧記録をパーキンソン病患者100例以上に行い、踵への荷重不足という特徴を見出した。2019年度には(1)についてさらに症例を加え、立位持の後方荷重傾向に加えて、歩行時では逆に後方(踵)への荷重不足を示した。さらに(2)においては、視床下核に対する脳深部刺激療法(STN-DBS)を施行したパーキンソン病患者について、術直後では体幹筋の筋緊張の低下が急速に起こり、体幹動揺性が出現する可能性を指摘した。2020年度はCOVID-19により研究は停止状態であったが、わずかにSTN-DBS後の体幹動揺性の出現につき症例が増えた。2021年度も同様に研究はほぼ停止状態にあり、2022年度に研究を持ち越していたが、COVID-19による研究の停止状態に加え、異動になったことで必要な研究を維持できなくなった。
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