研究実績の概要 |
骨格筋の損傷・修復過程において筋組織間質に集積する細胞と、これらの細胞同士の相互関係について、微細三次元構造と組織構築を明らかにすることを目的とした。実験は、動物の腓腹筋を挫滅した資料を用いて、経時的変化を集積イオンビーム登載走査型電子顕微鏡FIB/SEM(Quanta 3D FEG, FEI)をもちいて損傷1日後から7日後までのデータを取得し、パソコンで3D画像を作成し解析してきた。これに伴い、電子顕微鏡観察用の資料作製法から、電子顕微鏡像の取得、解析ソフトAmiraでの解析法について、「先端バイオイメージング支援プラットフォーム:Abis」から一連の支援をうけながら遂行してきた。 この結果、筋損傷1日後から7日後まで形態的特徴が異なるマクロファージ様細胞、線維芽細胞様細胞、白血球様細胞の3種類の細胞が損傷した骨格筋組織間質内に存在することを確認した。また、損傷1,2日後の筋線維内には、マクロファージ様細胞の浸潤、集積が確認出来、筋線維内に浸潤中のマクロファージ様細胞が筋線維外に存在する細胞と接触・連絡し細胞性のネットワークを形成していることが確認出来た。その後筋線維内のマクロファージ様細胞は減少したが、筋線維間質には3種類の細胞が引き続き確認出来た。 損傷5日後には筋管がおよび中心核を持った筋線維が形成され、再生した筋線維が確認できると同時に間質の白血球様細胞、マクロファージ様細胞の数は減少傾向にあったが、線維芽細胞様細胞については修復筋線維周辺で筋線維を相互に囲む様に細胞性の3次元性ネットワークを形成していることを確認した。 これらの観察・解析の結果かから、液性制御だけでなく間質細胞相互のダイレクトコンタクトによる制御機構の存在を予想された。
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