本研究は人工知能を利用して、リハビリの帰結予測に採血データや画像所見を臨床データに加えることによってより精度の高い予測が可能となるか検討するものである。 令和2年度は、臨床データのみでの人工知能を使用した帰結の学習モデルの作製と検証、頭部MRI画像の処理を行い人工知能への学習を継続した。臨床データでは当院回復期リハビリテーション病棟入退院した4982例を用いて重回帰分析から退院時FIM(Functional Independence Measure)の帰結に関わる因子を抽出し、さらにデータの標準化の処理が予測精度を高めるか検討した。検討の結果、生データを用いたモデルのR二乗0.85、標準化したデータでは0. 84と生データの方がやや精度が高かった。一般的に機械学習を行う際には標準化を行うが、標準化のメリットがあるかは検証が必要であることを報告した。脳画像の兼用では、脳画像はそのままでも学習可能であるが、人工知能に正しく学習させるため、脳梗塞症例で、異常所見を同定し、退院時FIMの値とともに人工知能に学習を継続した。MRIのFLAI、RDWI、T1と使用したが、どの画像を使用するか検討し、FLAIRがもっとも脳損傷を表現していたため、FLAIR画像を使用した。脳画像全症例に対し、学習させた範囲内であるが、FIMの帰結が高得点の良好群と低得点の不良群の2群に分けることで、判別が可能になる可能性がでてきた。まだ症例数が少なく、判別の精度が低いため学習量を増やしていく必要がある。
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