研究課題/領域番号 |
18K10782
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉田 輝 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (40347109)
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研究分担者 |
大渡 昭彦 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30295282)
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30325782)
原田 雄大 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30755228)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マイクロダイアリシス / 神経因性膀胱 |
研究実績の概要 |
本研究は、排尿制御に関わる大脳の領域である前部帯状回や前頭前野皮質、中脳水道周囲灰白質などにおけるセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリンなどの神経伝達物質の排尿に関連した動的変化をマイクロダイアリシス法により明らかにすることで脳内における排尿制御機構を神経伝達物質の動態の変化から明らかにすることを目的としている。本年度は、Wister系雄ラットを用いて中脳水道周囲灰白質及び前頭前野皮質におけるセロトニンとドーパミンの濃度を測定する実験系の確立を目指した。イソフルレン吸入麻酔下にラットを定位脳固定装置に固定し、中脳水道周囲灰白質(ブレグマを基準に0.8 mm lateral, 7.8 mm posterior, 4.8 mm ventral)あるいは前頭前野皮質(ブレグマを基準に0.7 mm lateral, 3.2 mm anterior, 1.6 mm ventral)に透析用ガイドカニューラを挿入し、頭蓋骨にデンタルセメントに固定した。3日後に微小透析プローブをガイドカニューラに挿入し、プローブにリンゲル液を還流し透析液を回収し、自由行動下でセロトニンとドーパミンの濃度を微量生体試料分析システムHTEC500(エイコム社製)を用いて24時間測定しそれぞれの部位に特異的な変動があることを確認した。また、脳梗塞モデルでの排尿制御機構の変化を調べるため、イソフルレン吸入麻酔下にラットを定位脳固定装置に固定し、ブレグマから2 mm前方に560 nmの緑色光線を照射しながら光感受性色素ローズベンガルを静注することで脳梗塞を作製した。そして作製後3日目にラットを小動物用排尿機能検査装置に入れ48時間の排尿行動を調べ、正常ラットと比較することで、脳梗塞後の過活動膀胱モデルとしての有用性の検証をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、中脳水道周囲灰白質及び前頭前野へのカニューラの挿入部位の場所の確定や手術手技の確立に時間を要した。また、マイクロダイアリシスのデータの安定性を高めるため機器や試薬の調整など様々な改良を行ったことにも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度までに確立してきた中脳水道周囲灰白質や前頭前野皮質でのセロトニンとドーパミンの濃度を測定する実験系、小動物用排尿機能検査装置を用いて排尿行動を自由行動下で観察する実験系、脳梗塞ラットを作製する実験系を融合させ、自由行動下の排尿機能におけるセロトニンとドーパミンの役割を明らかにし、またその脳梗塞による変化を明らかにしていく予定である。また、本年度末から、分担研究者とより効率的に実験をすすめる体制を確立することができ、今後は飛躍的に実験のスピードを上げていくことができると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施した実験は、既存の実験機器や試薬を用いて遂行が可能であったため、次年度使用額が生じた。次年度において、試薬や実験機器の購入に使用する予定である。
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