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2021 年度 実施状況報告書

膝前十字靱帯損傷における関節動揺の安定化と神経機能回復過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K10785
研究機関埼玉県立大学

研究代表者

金村 尚彦  埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20379895)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード膝前十字靭帯損傷 / 関節不安性 / 感覚機能 / 神経可塑性
研究実績の概要

膝前十字靭帯(ACL)損傷は,再建術を行うことが,ゴールドスタンダードである.これは靭帯の治癒能力が低い事が原因とされるが,当研究室では,保存療法モデルを作成し,靭帯が治癒することを報告してきた.その靭帯に対し,膝関節機能の機能的回復には,膝関節における神経可塑性を導くことが重要である. ACLの存在する線維芽細胞は、酵素やヒアルロン酸、成長因子など、組織修復に関わる物質を分泌している.その中の1つである神経栄養因子は神経細胞の発生や成長、維持、再生に深く関与している。関節不安定性を制動すると、膝関節に神経再生因子発現にどのような影響を及ぼすのか、動物組織を対象に,靭帯から細胞を単離し細胞培養後,神経栄養因子の発現における解析を行った。
ラットACL損傷モデルを用いて、ACL損傷後に異常関節運動を制動することにより、細胞から発現される神経栄養因子の発現量を非制動群と比較した.Wistar系雄性ラットに対しACL切断群(以下ACL-T群)、ACL切断後関節制動を行った群(以下CAM群)、偽手術群(以下Sham群)に無作為に分類し、術後2週、4週、8週時点でACLの細胞を採取した。細胞培養し、total RNAを抽出した。その後、逆転写反応によりcDNAを合成し、Real time PCR法にて神経栄養因子BDNF、NGF、NT3の遺伝子発現量を分析した。その結果,BDNF、NGFはACL-Tは,4週時点で増加、CAM8週時点で増加傾向を示した。NT-3は,各期間で変化がなった.NGFは炎症に関わる因子で処理すると発現量が増加する.またNGF/TrkA軸のシグナル伝達が阻害されることで痛覚過敏が緩和したことから痛覚に関与している可能性が推察された。組織学分析では,ACL-T群では,損傷後連続した靭帯は観察されなかったが,CAMは4週以降に損傷された靭帯の連続性が観察されたことから,靭帯治癒後,線維芽細胞から神経再生に関与する因子の発現動態の一部が明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

感染症の拡大に伴い,実験計画の縮小を余儀なくされて,当初予定された計画が遅れている.モデル動物の作成は完了しているが,分析に時間を要している.

今後の研究の推進方策

前十字靭帯損傷モデルラットに対し,前十字靭帯切断群や前十字靭帯切断群切断後関節制動後関節内組織である,前十字靭帯細胞や,滑膜組織を採取し,細胞培養を行った後,神経栄養因子のリアルタイムPCR法により,発現量を検討しているが,感覚機能の改善に関与している別因子の発現量を分析する必要がある.また遺伝子発現に加えて,タンパク質分析を実施し,脊髄レベルにおける免疫組織科学分析を行う予定である.モデル動物からのサンプル抽出が終了しているが,各分析を進めていく予定である.

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた研究計画における神経可塑性に関与している因子の分析を継続して行う.
具体的には細胞培養で得られた靭帯由来の線維芽細胞と滑膜由来の線維芽細胞のおける神経可塑性に関与する因子を遺伝子発現解析と,タンパク質発現解析,免疫組織化学染色を実施し,研究成果をまとめる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ラット膝前十字靭帯損傷後の関節制動が 脊髄における神経栄養因子の発現と神経修復に及ぼす影響2021

    • 著者名/発表者名
      高橋ひかり, 大塚香緖里, 山本芙雪, 髙橋采紗, 国分貴徳, 村田健児,金村尚彦
    • 学会等名
      第30回埼玉県理学療法学会
  • [学会発表] 膝関節不安定性を制動する装具療法と関節内組織修復能への影響2021

    • 著者名/発表者名
      金村尚彦
    • 学会等名
      第2回 日本ファシア会議
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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