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2020 年度 実施状況報告書

正常な自由運動と損傷組織への力学的ストレスは前十字靭帯と半月板の治癒を促進させる

研究課題

研究課題/領域番号 18K10786
研究機関埼玉県立大学

研究代表者

高柳 清美  埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 客員教授 (20274061)

研究分担者 村田 健児  埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (30792056)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード膝前十字靭帯 / 自然治癒 / 保存療法
研究実績の概要

関節前十字靭帯(以下、ACL)が断裂した場合、自然治癒しないことから再建術が一般的な治療手段となる。しかし、我々は治癒を前提とした保存療法メカニズムを考案・新たなACL治癒動物モデルを開発し、保存療法の確立に向けた対象者の選定に向けた基礎実験を継続している。
2020年度においては、正常な自由運動を制限することによる影響について力学解析とタンパク質解析を実施した。我々の開発した関節制動処置を施したラットに対して、通常飼育(CA:Cage Activity)群と実験(EX:Experiment)群に分類し、EX群は膝関節を屈曲90度にギプス固定しながら飼育し、実験期間終了後、ACLを除く全ての軟部組織を除去し、最大破断強度を調査したところ最大破断強度はEX群平均8.12N、CA群平均12.99Nであり、有意にEX群で低下した。ACL組織のコラーゲン含有量をELISAで評価したところ、有意差は認めなかった。このことは、正常な関節運動の維持は治癒過程の靭帯において、必要な条件である可能性を示す。ACL細胞にとって適度なストレッチがコラーゲンの合成・成熟に必要であることを報告がされていることからも、ギプス固定による関節運動の不動化による強度の低下が生じた可能性がある。一方で、コラーゲン量は変化がなかったことからも、モデルにおける治癒靭帯自体生化学的影響は少ない可能性がある。
また、断裂部位については大腿骨側の断裂においても、中間部断裂と同様に自然治癒することが判明しており、損傷部位への力学的ストレスについても今後検証を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ACLについての解析は実施できているが、半月板への影響についての調査はまだ進んでいない。このため、実験計画からやや遅れている。

今後の研究の推進方策

中高齢者ACL損傷患者においての治療の一助として発展させるためには、さらなる強度の改善を必要とする。現在、組織学的解析も進めており、今年度は組織学での検証を進めるとともに、半月板についての解析も実施する。
また、ACL細胞の採取プロトコルが昨年度確立されていることから、ACLから採取した細胞へのストレス試験を検討している。

次年度使用額が生じた理由

大きな差額は生じていない。使用差額については、組織学的解析に利用していく

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件)

  • [雑誌論文] Influence of the site of injury on the spontaneous healing response in a rat model of total rupture of the anterior cruciate ligament2021

    • 著者名/発表者名
      Kano T.,Kokubun T.,Murata K.,Oka Y.,Ozone K.,Arakawa K., Morishita Y.,Takayanagi K., Kanemura N
    • 雑誌名

      Connective Tissue Research Published online: 04 Mar 2021

      巻: 4 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1080/03008207.2021.1889529

    • 国際共著

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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