研究課題/領域番号 |
18K10796
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
大野 善隆 豊橋創造大学, 保健医療学部, 講師 (80440808)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 筋萎縮 |
研究実績の概要 |
骨格筋萎縮の予防・回復は健康寿命を延伸すると考えられている。筋萎縮対策の代表は運動であるが、運動困難者向けの新たな対策が望まれる。骨格筋は乳酸を分泌する一方で、骨格筋には乳酸受容体が存在する。しかしながら、骨格筋への乳酸の影響には不明な点が多い。 本研究では、乳酸による骨格筋萎縮の予防・回復効果ならびにメカニズムを明らかにするために、乳酸刺激の筋萎縮予防への影響、乳酸刺激の筋萎縮回復への影響、乳酸刺激の乳酸受容体シグナルへの影響を検討する。 本研究は3年計画で実施され、平成30年度はその1年目に当たる。本年度の検討項目は、乳酸刺激の筋萎縮予防への影響とした。実験対象には実験動物(マウス)を用いた。後肢懸垂により活動量を減少させ、下肢の骨格筋に廃用性筋萎縮を引き起こした。筋萎縮進行期間に乳酸ナトリウムを経口投与した。乳酸刺激が筋萎縮を予防するかを、骨格筋量を指標に確認した。後肢懸垂により足底筋とヒラメ筋の重量は減少したが、乳酸投与は後肢懸垂による筋重量の減少を一部抑制した。次に、乳酸による筋萎縮予防のメカニズムを調べるために、乳酸刺激によるタンパク質合成・分解シグナルの応答をwestern blot法を用いて解析した。乳酸投与は、タンパク質分解に作用する細胞内シグナル伝達物質のリン酸化レベルを低下させた。骨格筋量の調節にはタンパク質の合成と分解のバランスが関与することから、乳酸はタンパク質の分解抑制に作用することで、骨格筋量の減少抑制および骨格筋量の増加を促すことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の検討項目は、乳酸刺激の筋萎縮予防への影響である。これまでの検討により、廃用性筋萎縮モデルを用いて、乳酸刺激が筋萎縮を予防するかを、骨格筋量を指標に確認した。その結果、乳酸刺激は活動量減少による骨格筋量減少の一部を抑制することを確認した。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は3年計画で実施され、2019年度はその2年目に当たる。本研究を実施するための研究施設・設備・備品は概ね整備され使用可能な状況にある。本助成金は主として、試料(実験動物の筋組織、筋細胞)や分析に必要な試薬などの物品の購入に充てる。なお、本年度の研究計画の動物実験は、所属機関の動物実験に関する規程に従い、動物実験委員会による審査・承認を経て実施する。これまでの検討により、乳酸刺激は活動量減少による骨格筋量減少の一部を抑制することが示唆された。そこで、本年度の検討項目は、乳酸刺激の筋萎縮回復への影響とする。 実験対象には、実験動物(マウス)を用いる。後肢懸垂により活動量を減少させ、下肢の骨格筋に廃用性筋萎縮を引き起こす。廃用性筋萎縮モデル作成後、筋萎縮からの回復を促す。萎縮回復期間に乳酸ナトリウムを経口投与する。乳酸刺激が筋萎縮からの回復を促進するかを、骨格筋量を指標に調べる。次に、乳酸による筋萎縮回復のメカニズムを調べるために、乳酸刺激によるタンパク質合成・分解シグナルの応答をwestern blot法を用いて解析する。そして、乳酸刺激の筋萎縮回復への影響について、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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