研究課題/領域番号 |
18K10798
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
兒玉 隆之 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (80708371)
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研究分担者 |
中野 英樹 京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (60605559)
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ニューロリハビリテーション / 脳波 / BCI |
研究実績の概要 |
本年度は,これまで取り組んできたニューロリハビリテーションデバイスの開発研究(基盤C:15K01439)で完成したプロトタイプデバイスを用いて,介入研究を実施した。本デバイスのシステム(iNems)(特開2017-102504)は,脳血管障害後の感覚運動障害患者や慢性的な感覚異常により身体実在感を創出した患者に対して,自らの能動的な脳内運動感覚指令を起点に視覚的・深部感覚刺激による受動的な代償的運動応答を誘起できるものである。センシングシグナルには脳波成分の出現パターンを利用している。本システムを用いて,共同研究施設である愛知県の病院施設にて延髄梗塞後にしびれと身体性低下を認める患者2名に対して介入を行った。6週間にわたる治療介入の結果,しびれに対する破局的思考が改善し,麻痺側上肢の使用頻度および動作の質が向上した。さらに安静時および運動イメージ時の脳波活動にも改善を示す変化を認めた。以上より,しびれに対するiNemsトレーニングが行動学的および神経生理学的な変化を引き起こすことを明らかにした。本結果を踏まえ,対象者数および対象症状の拡大拡充を目指し,現在も研究を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度,多感覚刺激装置の開発へ向けたシステム構築および実証研究において,脳機能障害患者にシステムを用いたニューロリハビリテーションが奏効することを報告した。ご協力いただいた被検者方は脳神経活動の改善のみならず,障害に対する認識やQOLでも改善を認めているが,現在より多くの対象者に対して実施し,センシングに用いるより詳細な脳波パターンの検出を行えるよう改善を行っている段階であるため,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に引き続き,当初の計画通りに研究を遂行する。脳血管障害患者や身体性障害を有する患者に対して介入を実施し,本システムを基盤としたBCIリハビリテーションシステムの有用性を検証していく。これらを展開することで,脳機能障害患者に対する神経機能再編成を具現化できるようツールの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の成果として,延髄内側梗塞患者への介入研究結果を論文としてまとめたものが採択となった。その際の掲載料として計上していたが,公開日が次年度となったため次年度に使用することとなった。 30年度に続き,介入実験を継続していく予定である。人件費および謝礼の計上に加え,システム改良にかかる予算も含め使用計画は見通しがついている。
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