研究課題/領域番号 |
18K10799
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
杉生 真一 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (90397688)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | セロトニン / 侵害受容行動 / サポリン / ホルマリンテスト |
研究実績の概要 |
アンチ-セロトニントランスポーター-サポリン(Anti-SERT-Sap)に含有されているSapはナデシコ科サボンソウ属サポナリア(Saponaria officinalis)の種子に含まれるタンパク質性毒素で、Sapを抗体またはリガンドと結合させ、ターゲットとする細胞に取り込ませることで、リボソームを不活性化にさせ、極めて低濃度で細胞死を引き起こさせる効果があり、ターゲットトキシンとして研究に使用されている。本研究では、Anti-SERT-SapがSERTの抗原に結合し、Anti-SERT-Sapが局所的に投与されたRVMにおける5HT作動性ニューロンに内在した後、Sapは細胞内リボソーム不活性化タンパク質として働き、細胞を死滅させ、RVMの5HTニューロンを選択的に減少させることができた。 上記手術2-4週間後のRVMの5HTニューロンを選択的に減少させたモデル動物を用いて、上口唇へのホルマリンを投与したホルマリンテストを実施し、口腔顔面部の侵害受容行動(PRB)の動態を確認した。PRBとして注射部位および反対側を前足または後肢で掻く行動を5分間ごとに60分間計数した。ブランク-サポリン;Sham群(Bl-Sap)前処置群、Anti-SERT-Sap前処置群でのPRBは共に第1相、間期、第2相で2峰性のグラフを示した。上口唇へのホルマリン注射したBl-Sap前処置群とSERT-Sap処置群でのPRBは第2相において有意差が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験にてRVMへのAnti-SERT-Sapの注入が成功していたため、本研究課題の進捗状況は順調に進展している。RVM領域の組織学的確認が遂行でき、また疼痛関連行動(PRB)の確認もおおむね順調である。今後は神経障害性モデルを作成し、上記方法と同様の実験を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
RVMの5HTニューロンを削除した神経非損傷モデルを用いて、ホルマリンテストを行い疼痛関連行動の差異の確認ができたので、今後、同様の方法でRVMの5HTニューロンの削除を行い、神経非損傷モデルと神経損傷モデルとの疼痛関連行動(PRB)の比較を行う方針である。また、免疫組織化学法にてc-Fos発現の定量を行い、脳内活動部位の同定と侵害受容ニューロンの活性を細胞レベルで定量する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
手術用顕微鏡装置の費用を抑えることができ、また準備していた消耗品、薬品にて実験が行えたため、費用を抑えることができた。しかし、次年度以降は多くの動物、薬品、消耗品の使用を予定しているため費用がかかる計画である。
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