研究課題/領域番号 |
18K10799
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
杉生 真一 大阪人間科学大学, 保健医療学部, 教授 (90397688)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 下行性疼痛制御 / RVM / 三叉神経 / セロトニン / c-Fos |
研究実績の概要 |
【平成30~31年度の計画実施後】本研究では動物の侵害受容動態に関するモデル動物の作成として、SD系雄性、体重180~250gのラットを用い、下顎の智歯抜歯後に臨床で生じる可能性がある症例モデルとして、神経非損傷モデルと神経損傷モデルを作成した。神経非損傷モデルと神経損傷モデルの三叉神経第3枝支配領域の下口唇オトガイ部と近接領域である三叉神経第2枝支配領域の口髭部にてフォン・フライテストを行い、機械的疼痛閾値の定量を行った。両モデル間には作成後から経時的な機械的疼痛閾値の差異が認められ、先行研究と合致した部分があった。よって下顎の智歯抜歯後の臨床モデルを神経障害性疼痛モデルとして確立させた。上記両モデルを用い、脳の細胞の表現型および活動レべルに関する研究として、機械的疼痛閾値の変化が認められた時期にて、起炎材を前投与し灌流固定後、脳の切片を作製し免疫組織化学法にてc-Fos発現の定量を行い、脳内細胞の活動部位の同定と侵害受容ニューロンの活性を細胞レべルで定量し、差異が認められた。【令和2年度の計画】現在、脳のシステム(神経回路)を明らかにする研究として、RVMにanti-Serotonin transporter-Saporin (SERT-Sap)を注入し、RVM内の5-HT作動性ニューロンを削除した神経非損傷モデル(神経非損傷SERT-Sap)と神経損傷モデル(神経損傷SERT-Sap)を作成している。中枢性機序を経時的に明らかにするため、モデル作成後から1ヶ月間で両モデルの機械的疼痛閾値の変化を調べ、神経損傷SERT-Sapの機械的疼痛閾値の変化が顕著に認められた時期で、両モデルの脳の細胞活動の変化を調べている。RVMの状況に応じた侵害刺激に対する働きが解明できれば慢性疼痛の解明の一助となり、また慢性疼痛の治療に迫ることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響で、2020年3月より動物実験を休止している。必要な薬品、機材も場合によっては入手が困難となる可能性があり、今後予定通り研究が行えるかが不透明である。しかし、現行までは順調に行えている。下顎の智歯抜歯後に臨床で生じる可能性がある症例モデルとして、神経非損傷モデルと神経損傷モデルを作成した。神経非損傷モデルと神経損傷モデルの三叉神経第3枝支配領域の下口唇オトガイ部と近接領域である三叉神経第2枝支配領域の口髭部にてフォン・フライテストを行い、機械的疼痛閾値の定量を行った。両モデル間には作成後から経時的な機械的疼痛閾値の差異が認められ、先行研究と合致した部分があった。よって下顎の智歯抜歯後の臨床モデルを神経障害性疼痛モデルとして確立させることができた。同時に脳の切片を作製し免疫組織化学法にてc-Fos発現の定量を行い、脳内細胞の活動部位の同定と侵害受容ニューロンの活性を細胞レべルで定量し、差異が認められた。上記にも記載したが、現在進行中の令和2年度の計画では動物実験がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の令和2年度の計画では動物実験が遅れているが、既存の予備実験のデータなどを活用し、できる限り計画を実行する予定である。しかし、今後十分なデータが集約できなければ、現在のところまでを整理し、研究計画の変更を行うことも考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究の一部について再検討、再実施を行ったため、物品購入に影響が出たため。
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