研究課題/領域番号 |
18K10800
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研究機関 | 大阪河崎リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
中村 美砂 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 教授 (70285386)
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研究分担者 |
今岡 真和 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 助教 (40780961) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知機能 / ロコモティブシンドローム / 運動機能 / 介入研究 / 地域高齢者 |
研究実績の概要 |
超高齢化社会を迎えるわが国にとって、高齢者の身体と心身の健康問題は重要である。運動器障害により要支援・要介護となるリスクの高い状態をロコモティブシンドローム(LS)と呼ぶ。本研究では、認知機能低下の予防を目的とした運動指導を強化する対象者にLSの診断ツールであるロコモ25を基準にした運動機能評価の適応の有効性について明らかにすることを目的とする。今年度は運動機能および認知機能へのロコモ25スコアの関与について明らかにした。大阪府貝塚市在住の210 名の60歳以上の方(男性54名、平均年齢75.4 歳、女性156名、72.9歳) を対象に、ロコモ25の質問票に回答していただいた。認知機能の評価にはMMSE(Mini-Mental State Examination)を用いた。また、運動機能の指標として握力、歩行速度の測定を行った。MMSEスコアが27点以上を認知機能正常、26点以下を認知機能低下と判定した。 その結果、男性ではロコモスコアの平均は5.8点で、女性の平均は、9.9点であった。MMSEスコアについては、男性では平均が27.4点、女性では平均が28.5点であった。また、女性において歩行速度とロコモ25スコアとの間に関係のあることが明らかとなった。これは男性では見られなかった。MMSEによる認知機能の分類結果とロコモスコアとの関係については、男性では見られなかったが女性では関係が認められた。そこで女性においてMMSEに含まれる7領域の中で最もロコモ25スコアに関係する領域について解析を行った結果、時間見当識との強い関係が明らかとなった(p<0.01)。 以上の結果より、女性において運動機能および認知機能とロコモ25スコアには関係があり、特に歩行速度と時間見当識との間に強い関連のあることが明らかとなった。認知症予防のための評価ツールとしてロコモ25の有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年の目標である地域在住者210名の参加により運動機能および認知機能へのロコモ25の関与を明らかにすることができ、初年次の課題を完了することができた。現在、2年目の課題に向けての介入研究を開始しており、本年度の課題も完結することが可能と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、地域在住高齢者を対象としたロコモ25スコア別にクラス分けをした3ケ月間の運動介入教室を行い、その前後における運動機能、認知機能などを比較することで、認知機能向上に向けた運動介入へのロコモ25スコアの有効性を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では研究対象者に謝金を支払う予定であったが、市との共催の健康教室として自主参加形式で行なったため、謝金を支払わなかったため当該助成金が生じた。次年度は、成果物としての論文分登校時の英文校正費として使用する予定である。
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