研究課題/領域番号 |
18K10800
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研究機関 | 大阪河崎リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
中村 美砂 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 教授 (70285386)
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研究分担者 |
今岡 真和 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 助教 (40780961) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知機能 / ロコモティブシンドローム / 身体活動 / 地域在住高齢者 |
研究実績の概要 |
認知機能の低下は運動機能の低下と密接に関連している。我々はこれまでの研究でロコモティブシンドローム(LS)と認知機能との間に強い関係のあることを示し、前年度は認知症予防のための評価ツールとしてロコモ25の有用性を示唆する結果を得た。そこで本年度は、LS群の有無に基づく認知機能に対する日常の身体活動の有効性を明らかにすることを目的とした。13週間の健康教室に参加した地域在住の高齢者70名(平均74.7歳)を、ロコモ25スコアに基づいて、7点未満を非LS群および 7点以上をLS群として2つの群に分類した。認知機能は、アデンブルックの認知検査改訂版(ACE-R)の日本語版を使用して評価した。1日の平均身体活動([Ex])は、ポータブル活動メーターを使用して測定した。その結果、ROC解析の結果、13週間後に認知機能が増加するExのカットオフ値は、LS群では2.29 Ex(p <0.05)であった。13週間後、LS群では>2.29Ex群はEx <2.29Ex群と比較してACE-Rスコアは有意に高くなり(p = 0.015)、ロコモ25スコアは低下した(p = 0.052)。さらに、ACE-Rドメインの記憶スコアの有意な増加が >2.29Exグループで見られた(p = 0.013)。非LS群では、身体活動と認知機能との関係は見られなかった。以上の結果は、毎日の身体活動がLS群においてロコモ25スコアを改善するだけでなく、認知機能も高めることが示唆された。したがって、認知症の予防のために運動を開始する時期を決定するためには、運動機能の低下が有用な評価指標であることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小集団において、ロコモ25スコアが認知機能低下予防のための運動介入のタイミングを決定することに有用であることを証明した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今回得られた結果をより大規模集団において行うことにより、性差などについて着目して行く予定である。コロナ渦でのこのような研究は、困難であるが被験者の感染リスクを最小限に抑えた上で計画する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・謝金費について、その一部を他の助成金でもまかなったために予定よりも減額となったために生じた。来年度は、本助成金を論文作成における英文校正費用に当てる予定である。
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