研究課題/領域番号 |
18K10801
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研究機関 | 大阪行岡医療大学 |
研究代表者 |
井坂 昌明 大阪行岡医療大学, 医療学部, 講師 (70735505)
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研究分担者 |
杉本 研 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20437403)
田中 稔 大阪保健医療大学, 大阪保健医療大学 保健医療学部, 准教授 (00735508)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サルコペニア / フレイル / 高齢者2型糖尿病 / 骨格筋エコー / 運動強度 / 介入効果 / 遠隔期予後予測 |
研究実績の概要 |
本研究は、サルコペニア合併高齢糖尿病患者を対象に、サルコペニア指標における運動強度別の効果を検討するため、以下の①から④について明らかにすることを目指している。①サルコペニア合併高齢糖尿病患者のエコーによる骨格筋特性(量的・質的)の解明を行う。その後、②運動強度別のクロスオーバー比較試験による骨格筋エコーを用いた骨格筋特性が変化する時期および運動強度別の介入効果(血糖コントロール、骨格筋指標)を検討し、さらに、③は①および②で得られた知見と身体機能、生化学データやバイオマーカーとの関連を解析した上で、④遠隔期予後予測を検討する。①に関しては、サルコペニアと下腿筋エコーに関連する論文を筆頭著者として国際誌1本に投稿中である。また学会発表を筆頭演者および共同演者として国内学会2件、国際学会1件の成果を残した。②に関しては、臨床研究倫理審査委員会の承認を得た後に対象者を選定し調査を実施している。③と④に関しては、フレイルおよびサルコペニアをはじめ高齢糖尿病患者を対象に骨格筋エコーを用いた詳細な骨格筋評価法を応用している文献、さらにその評価法により治療介入の効果判定や遠隔期予後予測に言及している文献の収集を行い読み進めている。本年度得られた成果は、サルコペニア合併高齢糖尿病患者に対して運動強度が血糖改善とともに骨格筋の筋量や筋質の改善が得られるかについて同時に評価できる骨格筋エコーを用いた下腿筋評価の有用性についての礎となり、高齢糖尿病患者に対する新たな運動療法の意義を示すことにおいて重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要で示した内容に従い以下に述べる。①に関しては、サルコペニアと骨格筋エコーに関連する学会発表を筆頭演者および共同演者として国内学会2件、国際学会1件の成果を残した。また、下腿筋エコーを用いた骨格筋特性を解明するための解析を行い、筆頭著者として国際誌に投稿中である。②に関しては、当初の計画では2018年10月頃に臨床研究倫理審査委員会の承認を得た後、2019年1月頃から当該研究の対象者を選定し調査を開始していた。しかし、2020年1月下旬ごろから新型コロナウィルスに伴う感染拡大防止のため不要不急の外出を控えるなどの対策が各所で講じられた。さらに新型コロナウィルス感染拡大に伴う全国的な緊急事態宣言が発令され、外来診療をはじめとした病院機能が著しく低下した。そのことが研究機関にも波及し、新規の対象者選定まで至らず本研究に甚大な影響を及ぼした。現在その影響は回復傾向にあるが、新型コロナ感染拡大前のような状態には至っていない。 しかし、その後の臨床研究を迅速かつ円滑に遂行するため積極的に対象者の選定を行っている。③と④に関しては、継続してフレイルおよびサルコペニアをはじめ高齢糖尿病患者を対象に骨格筋エコーを用いた詳細な骨格筋評価法を応用している文献、さらにその評価法により治療介 入の効果判定や遠隔期予後予測が可能となるかについて言及している文献の収集と精読を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で示した内容に従い以下に述べる。①については、フレイルおよびサルコペニア、糖尿病および骨格筋エコー評価に関連した論文執筆および学会発表など社会貢献を継続して行い研究成果の積み重ねを図る。 ②に関しては、当初の計画よりやや遅れて倫理審査委員会の承認を得た。その後の臨床研究を迅速かつ円滑に遂行するため速やかに対象者の選定を行い調査を実施していた。しかし、感染拡大に伴い研究施設使用の停止や自宅待機など研究の進捗に甚大な影響を生じた。予定である。感染拡大に最大限の対策を講じつつ本研究を堅実に遂行させることを目的に、臨床研究コーディネーターに協力を依頼し、対象者の研究に対する理解など、安全かつ丁寧な対応を行う予定である。 ③と④に関しては、フレイルおよびサルコペニア、高齢糖尿病患者を対象に骨格筋エコーを用いた詳細な骨格筋評価法を応用している文献、その評価法により治療介入の効 果判定や遠隔期予後予測が可能となるかに言及している文献をさらに収集し、読み進めるとともにレビューとしてまとめながら検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、予定していた当該年度の使用予定額を満たすことができなかった。未曾有の感染拡大に伴い自宅待機および研究機関の使用停止などで研究遂行に支障をきたした。一方で、骨格筋特性に関連する生化学的指標を解析するために必要な特殊血液検査費をはじめ研究成果発表のため国内および国際学会に参加しその費用の一部に用いた。 今後は本研究を推進させるための研究経費はデータ解析装置をはじめ精密機器の精度向上、現有機器の維持・管理、特殊臨床検査費および社会貢献に関連する費用を中心に使用する予定である。特に、研究成果発表に要する論文執筆はもとより、国内をはじめ国際学会にも参加予定であり、円滑な研究の遂行に伴う適切な使用を計画している。
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