研究課題
本研究は,前回採択課題である「咳嗽能力判定システムの開発」で採用した,声帯部分の抵抗を電気回路の可変抵抗で表したオリジナルの咳嗽モデルで流量波形をシミュレーションする研究を臨床応用することである.平成30~令和元年度の計画としては,高齢者,呼吸器疾患患者および胸腹部周術期患者にも適応可能なシミュレーションモデルを完成に向けて研究する事である.高齢者に関しては,デイケアを中心に研究協力を依頼してデータ収集が進んでいる.また,高齢者で頻繁に見られる円背姿勢も咳嗽に影響することが考えられるため,円背の評価を追加した.更に純粋な円背の影響も検討するために模擬的円背姿勢が咳嗽能力に与える影響について検討した.模擬的円背は声帯機能及び咳嗽能力が低下させていた.しかし,従来の声帯機能は肺活量の影響を受けるため明確には出来なかった.この結果については,第58回近畿理学療法学術大会にて報告した.シミュレーションモデルが完成すれば,これらに関しても視覚的に判断出来るものと考える.胸腹部周術期患者については,声帯麻痺が咳嗽時の呼気上昇時間に与える影響について,第28回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会で報告した.声帯麻痺があると呼気上昇時間は増加することを明らかにした.研究課題であるシミュレーションモデルでも呼気上昇時間を声帯麻痺の指標にしているため,シミュレーションの妥当性の証明に繋がったものと考える.令和元年度は更にデータ収集を進め,シミュレーションモデルの精度を高め,高齢者,円背変形の影響,外科手術の種類別の影響などについて検討していく予定である.
3: やや遅れている
臨床データを収集する予定であった研究協力者が異動となり,予定していたデータ収集が十分に出来ていない状況である.研究協力者は,他にもいるが,予定より減少するためデータ収集には時間がかかるものと思う.
データ収集出来る施設が減少したが,時間をかけて収集を進めて行く予定.また,新たに研究協力して頂ける施設を開拓していきたい.
臨床データを収集する予定であった研究協力者が異動となり,予定していたデータ収集が十分に出来なくなった.従って,購入予定であった機器を今年度は見送った.現在,協力施設を開拓している段階である.来年度中には施設を開拓し,機器を購入し,研究を加速させる予定である.
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