研究課題
本研究は,前回の採択課題である「咳嗽能力判定システムの開発」で採用した声帯部分の抵抗を電気回路の可変抵抗で表したオリジナルの咳嗽モデルを用い,流量波形をシミュレーションする研究を臨床応用することである.令和元年~2年度の計画としては,高齢者,呼吸器疾患患者および胸腹部周術期患者にも適応可能なシミュレーションモデルを完成に向けて研究する事である.高齢者に関しては,デイケアを中心に研究協力を依頼してデータ収集が進んでいる.また,高齢者で頻繁に見られる円背姿勢も咳嗽に影響することが考えられるため,円背の評価を追加した.また純粋な円背の影響も検討するために模擬的円背姿勢が咳嗽能力に与える影響について検討した.模擬的円背は声帯機能及び咳嗽能力が低下させていることを明らかにし,理学療法学にて論文として報告した.現在,シミュレーションモデルへの応用についても検討中である.胸腹部周術期患者については,声帯麻痺があると呼気上昇時間は増加することをすでに学会にて報告した.術後経過とともに呼気上昇時間は短くなる傾向にあり,その結果を研究課題であるシミュレーションモデルにも反映させるように検討している.また,食道癌患者のデータ収集も進めており,ほぼ同様の傾向が得られている.令和2年度はそれぞれについて更にデータ収集を進め,シミュレーションモデルの精度を高め,高齢者,円背変形の影響,外科手術の種類別の影響などについて検討していく予定である.
2: おおむね順調に進展している
研究協力者とともにデータ収集はほぼ順調に進んでいる.しかし,年度末からのCOVID-19 の影響により,特に高齢者の測定は難しくなるかもしれない.
令和2年度より訪問にかかわる言語聴覚士の研究協力を得ることが可能となり,声帯機能の影響についても深く検討できるようになると考える.
当初,測定用の機器を購入予定だったが,より精度の高い機器について業者に協力を求めたが,進捗状況が思わしくなく,購入に至らなかった.次年度は,予定通りの機器を購入して,データ収集をさらに進める予定である.
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理学療法学
巻: 47 ページ: 20~26
https://doi.org/10.15063/rigaku.11651
Journal of Exercise Rehabilitation
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Physiotherapy Theory and Practice
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