研究課題/領域番号 |
18K10805
|
研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
福岡 達之 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (10781289)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 舌の筋力トレーニング / 舌圧 / サルコペニア / 老嚥 / 嚥下障害 |
研究実績の概要 |
高齢者に生じる誤嚥性肺炎の多くは、老化や疾患、サルコペニアに伴う嚥下障害に起因している。近年、高齢者の嚥下機能低下の一因として、舌の筋力低下が注目されており、医療や介護の現場において舌の筋力を強化する試みがなされている。しかしながら、舌の筋力増強が嚥下時の舌運動にどのような効果をもたらすかについては未だ明らかにされていない。本研究では、嚥下機能が低下した施設入所高齢者を対象に舌の筋力トレーニングを行い、舌の筋力と嚥下時の舌運動を客観的に評価することで、その効果について検討することを目的としている。研究初年度の平成30年度は健常若年者(本学学生)を対象とし、次年度以降は施設高齢者を対象に研究を行う計画であり、今年度は以下のような実績がある。 1.嚥下時の舌口蓋接触圧を測定するSwallowScanの調達と機器の調整を行った。 2.SwallowScanの測定に必要となるキャリブレーション機器が入手不可となっていたため、企業に依頼して新たな同仕様の機器を作成した。 3.舌の筋力トレーニング前後における追加指標として、嚥下筋の筋活動を測定する表面筋電計の調達と機器の調整を行った。 4.基礎的研究として、現在、健常若年者10名を対象に舌の筋力トレーニングを週5日間、8週間の予定で実施中であり、トレーニング前後で最大舌圧、嚥下時舌圧および嚥下筋筋活動量のデータ収集を行っている。次年度の平成31年度の前半は健常若年者を対象として研究を継続し、その結果を踏まえ、後半は施設高齢者を対象に研究を実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
嚥下時舌圧の測定に必要なキャリブレーション機器が入手不可(販売中止)となっていたことから、同仕様の機器を作成できる企業への依頼と機器の完成に大幅な時間を要した。また初年度は健常若年者として本学学生を対象とした研究計画を予定していたが、平成30年7月豪雨災害による本学への甚大な被害、休講などの影響から学生への負担を考慮し、研究開始時期を延期した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は初年度に引き続き、健常若年者を対象として一定期間の舌の筋力トレーニングを行い、最大舌圧と嚥下時舌圧に及ぼす影響について検討する。嚥下機能評価の追加指標として、表面筋電図を用いて嚥下時の舌骨上筋群筋活動量を測定し、トレーニング前後で比較する。課題としては、舌の筋力トレーニングを実施する際の条件(負荷強度、訓練頻度、訓練期間)について、効果的かつ実際的な方法を検討する必要がある。平成31年度後半は、基礎的研究として行った健常若年者の結果を踏まえ、嚥下機能が低下した高齢者あるいは老嚥を対象として研究を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究開始時期の遅れにより、消耗品の不足がなかったため次年度使用額が生じた。次年度はトレーニング用の舌圧測定器とその消耗品、評価用の嚥下時舌圧測定器(SwallowScan)の舌圧センサシートおよび関連する消耗品等を購入予定であり、これに次年度使用額を計上する計画である。
|