研究課題/領域番号 |
18K10806
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
北島 研 福岡大学, 医学部, 准教授 (70469378)
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研究分担者 |
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 教授 (20343709)
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心臓リハビリテーション / 高齢者心疾患 / 心腎保護効果 / 心肺運動負荷試験(CPX) / 高比重リポ蛋白(HDL)機能 / 抗動脈硬化作用 / 抗酸化作用 / 炎症性サイトカイン |
研究実績の概要 |
本研究は、心臓・大血管リハビリテーション(心臓リハビリ)における心肺運動負荷検査(CPX)を用いた、心血管疾患の予後を予測する研究である。 研究初年度である2018年度は、心臓・大血管疾患においても急増している高齢者に着目し、65歳以上の心臓リハビリ通院中患者131名の最大6年間の後ろ向き観察研究において、心機能向上と加齢に伴う腎機能の低下速度を抑制することを報告した。血中脳中利尿ペプチド(BNP)、心臓超音波での左室収縮能(LVEF)は改善傾向、CPX によって測定された運動耐容能は開始2年まで改善、その後緩徐に低下し、腎機能を示す推定糸球体濾過量(eGFR)も低下傾向にあった。慢性心臓病(CKD) 患者では運動耐容能は上昇傾向で、eGFRは年齢を考慮しても軽微な低下に留まっていた。 研究期間2年次である2019年度は、心臓リハビリによる短期的効果を検証するため、心不全患者30名について、CPX前、及びCPX施行の際に判定された嫌気性代謝閾値(AT)時点での血液検体採取を行っている。CPX前とAT時の血液中の白血球、特にリンパ球の数が増加し、炎症性サイトカインのうちミオカインではIL-6が上昇していた。短時間の運動によってミオカインの変化が認められることが示唆された。 研究期間3年次である2020年度は、心臓リハビリによる抗動脈硬化作用を基礎分野から証明するため、動脈硬化モデルマウスであるアポリポ蛋白E(ApoE)欠損マウスを用いて、動物実験を行った。血液中のサイトカインIL-6は運動群で低下し、非運動群で上昇、また大動脈における動脈硬化の面積率は、運動群で37%、非運動群で51%と運動群の動脈硬化面積は低値であった。マウスにおいて運動療法は、体重増加や炎症性サイトカインを抑制し、HDL機能の抗炎症採用により動脈硬化を減少させることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究において保管しているヒトやマウスの血漿検体を用いて、HDL機能の一つであるコレステロール引き抜き能の確認を予定しているが、マクロファージ細胞での引き抜き数値が安定できていなかった。そのためマクロファージ細胞種を変更しており、やや遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究では、引き続き心血管疾患患者における心臓リハビリによる予後を解明するため、さらに期間を追い、臨床検査値のほか、コレステロール引き抜き能や抗酸化ストレス能、ミオカインなどのサイトカインを指標にして評価を継続していく。 基礎実験においては、ApoE欠損マウスでの運動療法に関する実験を継続する。これまでに得られた検体を用いて、血清脂質と抗酸化ストレス作用、コレステロール引き抜き能などHDL機能、及び大動脈の動脈硬化量、肝臓脂肪量、骨格筋繊維などが変化するかを確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度の2018年から翌年2019年にかけて、後ろ向きの臨床観察研究を中心に、電子カルテからのデータ検索と取り込みを行っており、消耗品の使用額が予定より下回った。2020年度からはマウスを用いた運動負荷の基礎実験を行う予定にしていたが、COVID-19感染拡大に伴う緊急事態宣言によりアニマルセンターの使用制限された期間があり、研究の遅れにより検体検査に関わる費用が使用できなかった。2021年度には、これまでの研究で得られた検体試料を用いて、コレステロール引き抜き能や動脈硬化計測のため使用する計画である。
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