研究実績の概要 |
骨格筋ミトコンドリアは運動や除負荷等の刺激に応じて量的・構造的に変化する。しかしながら、生体に存在するミトコンドリア構造の適応については不明である。本課題ではまず骨格筋ミトコンドリア構造を超解像度の光学顕微鏡を用いて可視化することを目的とした。マウスの長趾伸筋から単一筋線維を採取し、Mito tracker Redを用いてミトコンドリアを染色した。その後、光学顕微鏡下で筋線維を撮影し、3次元構築を行った。その結果、骨格筋線維の長軸・短軸方向にミトコンドリアが局在していることが明らかとなった。また、短軸方向のミトコンドリアはZ膜近傍に局在していた。 骨格筋ミトコンドリア構造の適応を明らかとするため、坐骨神経を切除する除神経手術をマウスに行ない、筋萎縮を惹起した。除神経手術から4, 7, 14日後に単一筋線維を光学顕微鏡下で単離して撮影を行った。その結果、術後4日後に筋線維短軸方向のミトコンドリアシグナルが消失しており、このシグナル消失は除神経手術7, 14日後でも確認された。電気顕微鏡を用いてミトコンドリアを観察したところ、Z膜近傍のミトコンドリアは消失しており、光学顕微鏡でのデータと一致していた。 今後は、ウェスタンブロット法を用いて、除神経を行った骨格筋サンプルにおけるミトコンドリアダイナミクス関連タンパク質発現量について解析を進める。また、後肢懸垂によりマウスの下肢筋群の萎縮を惹起し、ミトコンドリア構造がどのような適応を示すか検討を行う予定である。
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