本研究の目的はサッカーのゲームでのシュート能力を評価するための指標を開発することであった。2014年FIFAワールドカップを標本に記述的ゲームパフォーマンス分析を行い、シュートの結果に影響する12の変数を得ることができた。さらに、ロジスティック回帰分析によって、①シュートコースの守備者の有無、②セットプレー/オープンプレー、③密着した守備者の有無、④前方の相手人数、⑤ゴールまでの距離の5要因をシュートの結果に及ぼす要因であることが示唆された。これらの5要因は、2018年FIFAワールドカップを標本におこなった分析においてもシュートの結果に影響を与えていた。 これらの結果を踏まえて、すでに収集されているビッグデータを活用し、より簡易にシュート能力を評価できる回帰式の構築を目指したが、当初計画した内容のビッグデータを得ることができなかった。そのための代替として、日本のトップレベルのリーグであるJリーグと世界のトップリーグであるヨーロッパチャンピオンズリーグを対象にシュートに結果に影響を及ぼす主な要因を明らかにするとともに、Jリーグとヨーロッパチャンピオンズリーグでの要因の違いを検討した。その結果、①シュート距離、②シュート角度、③PKか否か、④シュートスピード、⑤カーブシュートか否か、⑥ムービングシュートか否か、⑦シュート後の変化の有無の7要因を抽出することができた。また、両リーグの比較では大きな差はなく、Jリーグの特徴して「ムービングシュートか否か」の要因が含まれたことが挙げられる。 最終年度は国際学会での発表を目指して結果等をまとめる予定であったが、パンデミックにより予定していた学会が延期になった。そこで、データの追加させるために新たなソフトを導入し、データの質をあげる作業を中心に研究を実施した。
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