研究課題/領域番号 |
18K10816
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大石 康晴 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (10203704)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 筋線維タイプ / 熱ストレス / MAPK / ERK1/2 / p38 / Hsp72 / リン酸化 |
研究実績の概要 |
分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ (mitogen-activated protein kinase, MAPK) は外界からの様々な刺激により活性化(リン酸化)され、さらに下流の基質を活性化することにより細胞の機能発現を調節している。 ほ乳類骨格筋においては、筋線維タイプとの関連について異なる見解が報告されており、私たちの研究室ではMAPKファミリーの一つであるERK1/2MAPKが速筋線維の発現と密接に関連する知見を得、この結果を2019年 Pflugers Archiv-European Journal of Physiology に発表した(2019, 471: 971-982)。 また、筋線維の再生段階において、熱ストレスにより発現量が増加した熱ショックタンパク質72(Heast shock protein, HSP72)が筋線維の再生を促進することを Journal of Histochemistry and Cytochemistry に報告した(2019, 67: 791-799)。 加えて、ラット骨格筋において、MAPKファミリーのp38MAPKおよびERK1/2タンパク質の発現が熱ストレスに対して増加すること、並びにp38MAPKタンパク質発現が筋線維タイプに特異性を持つことなどの知見を得ており、これらの結果は国内外での学会発表や、論文にまとめ国内外の専門誌に発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度はこれまでに得られた知見を論文にまとめ、2本の海外専門誌に掲載された(2本の論文共にFirst Author)。また、骨格筋におけるMAPKタンパク質の発現に関して様々な新たな知見を得ており、学会発表と論文発表を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、骨格筋の再生とMAPKファミリーの関連についての詳細を検討する予定である。具体的には、筋線維破壊後の再生段階においてERK1/1およびp38MAPKがどのように機能しているかを解明していきたい。 そのためのストラテジーとして、ERK1/1およびp38MAPKのタンパク質阻害剤を用いた実験系を計画し、実施している段階である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度当初の1,200,000円では薬品等の購入に不足が生じたため、前倒し請求として300,000円の請求を行い実験を継続した。しかし、年度内にすべての予算を使用するまでには至らず、残金51,724円は2020年度の実験費用に充てる。
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