研究課題/領域番号 |
18K10821
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
古林 俊晃 東北文化学園大学, 健康社会システム研究科, 教授 (80583963)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オノマトペ / 随意運動 / 運動効率 / 高次脳機能 |
研究実績の概要 |
運動には、力強さ、速さ、パワーや巧みにある動作と強調するタイミングといった運動形態がある。ヒトはこれらの運動を行う時、その運動を表象するオノマトペ(OP)を用いることで、その運動が円滑になることを経験的に知っている。我々はいくつかのOPを用いて運動効率の変化を、発声に伴う呼吸や腹圧を指標に検討してきた。しかし、これらのOPを意図的に用いると運動効果が顕著に出現しない、あるいはむしろ効果が減弱する場合が観察されることがあり、上述の指標だけでは十分に説明できないことに気づいた。本研究では、OPを単に発声するのではなく、OPがどのような条件の下、運動効率が変化するのかを確認しつつ、OPがどのように運動関連脳領域に連絡をし、運動プログラムを賦活させるのかを高次脳機能レベルで検討することを目的としている。 今年度は、昨年度に引き続き、力強さ(握力)と反応時間を運動課題として、①OP(GuとSu)を発声するだけの条件、②OPを想起させる条件(発声するか否かは指示せず)と③②をさらに強く想起することを意識させる条件(②を遂行中に鏡により運動のvisual feedbackを与える条件)を設定し、筋疲労を考慮しつつ、それぞれの運動効率の変化を呼吸や腹圧を指標としサンプル数を増やした。更にOPによる運動効率の変化に関わると推察される運動関連脳領域の検討を経頭蓋磁気刺激法(TMS法)並びに運動関連脳電位により着手した。現在は、TMS法の刺激部位、刺激強度、OPとTMSの刺激呈示のタイミング等を確認しており、これを基に今後実験協力者で検査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由として、実験協力者が集められなかったことが要因として高い。しかし、被験者が集まらない間も、握力系を用いた課題に起因する筋疲労に対する見直しを行い、協力者一人当たりの試行間隔の確認作業を行った。 また、申請者に関わる講義と会議の多さもによるエフォートの減少もあるが、本研究の実験に携わる本学の連携研究者2名が学位取得のため、外部の補助研究員1名が私的理由(結婚)により、本研究に専念できず、TMSの刺激パラメータ(TMSの刺激位置、刺激強度、OPとTMSの刺激時間間隔)を確認する時間を十分に確保出来なかったこともあげられる。 2020年に入りCOVID-19感染予防対策により、春休み期間に行う予定であった実験協力者を招集しづらい状況となり、実験が行えない状況にあったことも影響している。本学では2019年度末より人を対象とした実験は禁止されており中断している。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19感染予防対策により、本学では実験が禁止されており、中断している。解禁後速やかに実験を再開する予定である。 ①実験協力者については、本学の地域連携センターを通じて、大学の近隣の方々に実験参加の協力を依頼している。実験協力者は既に確保しているが、継続的に実験の参加の募集を図る。加えて近隣の大学にも呼びかけをする予定でいる。 ②また研究者の状況については、今年度も現状は大きく変わらないと思われるが、研究体制の見直しを図り、実験時間を増やせるよう検討する。 ③TMSについては、早急に、刺激パラメータを決定する。実験協力者はTMSや脳波などは未経験者であり、実施時間も長いことから研究内容を十分に理解してもらい、継続的に実験に参加して頂けるように配慮をする。 ④①から③については、謝金や人件費の見直しも検討する。 COVID-19 の収束状況によるが、今年度は特にTMSや運動関連脳電位について重視して実験を行うことで、2020年度中には軌道を戻せるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定としていたAD変換器(増設用)が利用可能となり、本研究の必要性から物品の優先順位を変更し、刺激呈示装置(Multi Trigger System)を購入することとした。 次年度は実験費(謝金を含む)、学会渡航費として使用することとする
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