研究実績の概要 |
膜損傷修復は生理的な条件下で様々な細胞で起こっている。我々は、高感度GaAsP搭載型多光子レーザー顕微鏡によるLIVEイメージングを行い、膜修復メカニズムをリアルタイムの分子動向で明らかにしてきた。本研究では、最新型の多光子高速スキャンレーザー顕微鏡を用い、スポーツによる筋線維膜損傷修復とマイオカインの分泌過程を顕微鏡下に再現し、筋線維からのマイオカインの多様な分泌現象を、超高速・超解像レベルで明らかにすることを目的としている。現在のところ、細胞膜損傷修復後に起こるエキソサイトーシスにより供給された修復膜がどのように変化するのか詳しく追跡している。培養細胞(BS-C-1, NIH3T3, C2C12, MKN45, MKN28, BRMEなど)を用い、シリンジローディングなど様々な損傷法によって培養細胞の細胞膜を損傷し、細胞外小胞形成過程を形態学的に観察した。また、金コロイド(10nm)処理を行ったカーボン支持膜付き金グリッドに培養細胞を滴下培養し、金グリッドをディッシュから引き剥がした直後にプランジャー(Leica)によって液体エタンへ凍結固定を行ない、クライオ電子顕微鏡(CRYO-ARM TM300, JEMZ300FSC, JOEL)にてトモグラフィー画像(厚さ12nm、日本電子提供)を得て形態学的に観察を行なった。その結果、LIVEイメージングによって、二光子レーザーによる損傷直後にナノサイズの細胞外小胞の離出が数多く観察された。クライオ電子顕微鏡観察では、損傷細胞から発芽様に突出または離出したエクトゾームが観察され、その内部にリボゾームや、様々なタンパク質と思われる構造物が高解像度で観察された。
|