研究課題/領域番号 |
18K10823
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
東浦 拓郎 亜細亜大学, 国際関係学部, 講師 (50436268)
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研究分担者 |
金田 健史 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (00406232)
福本 寛之 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00779308)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 体力 / 有酸素能 / 実行機能 / 抑制 / 認知的柔軟性 / 体育授業 |
研究実績の概要 |
日常的に身体活動量を高め、体力の向上を図ることは、子どもの認知機能を改善するとともに、学力の向上にも寄与することが示唆されている。しかしながら、子どもの認知機能、学力の向上に必要な身体活動や体力の量的・質的側面については明らかにされていない。そこで本研究は、児童期の身体活動・体力と実行機能(高次認知機能)の関係について明らかにすることを目的とし、以下の2つの知見が得られた。これらの知見は、有酸素能を高めること、また体育授業により身体活動を行うことは、児童期の実行機能にポジティブな影響を及ぼすことを示唆するとともに、児童期における体育授業の重要性を示すものである。 1)体力要素と実行機能の関係:児童34名(9-10歳)を対象に、質問紙による新体力テストの記録の調査とストループテストを実施した。そして、新体力テストの各項目の記録とストループテストの成績について、相関分析を行った。その結果、シャトルランの記録とストループテストの不一致条件の成績との間に有意な正の相関関係が認められた。シャトルランは有酸素能を、ストループテストの不一致条件の成績は実行機能(その中でも“抑制”)を反映する。したがって、体力要素の中でも有酸素能が実行機能とポジティブな関係にあることが示唆された。 2)体育授業におけるボール運動が実行機能に及ぼす影響:児童33名(9-10歳)を対象に、体育(ポートボール)と国語の授業前後にストループテストとトレイルメイキングテストを実施した。その結果、国語の授業前後ではいずれの実行機能テストの成績も変化がなかったのに対し、体育授業においては、授業前に比べて授業後でトレイルメイキングテストBの成績が有意に向上した。トレイルメイキングテストBは実行機能の中でも“認知的柔軟性”に関連することから、体育授業におけるボール運動は実行機能、特に“認知的柔軟性”を促進させることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、児童期の身体活動量・体力と実行機能(高次認知機能)の関係とその神経メカニズムについて明らかにすることを目的としている。今年度の研究成果により、実行機能の向上には有酸素能が関係していること、体育授業は実行機能にポジティブな影響を及ぼすことが示唆され、前者の目的を達成したものと考える。したがって、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展しているものと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の展開として、今年度までに得られた知見について、その神経メカニズムを探ることが挙げられる。しかしながら、現在は新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、神経生理学的実験の実施が困難な状況にある。したがって、神経メカニズムがある程度理解されている実行機能テストを複数用いることで、間接的ではあるが、児童期の身体活動量・体力と実行機能(高次認知機能)をつなぐ神経メカニズムについて明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、予定していた実験が実施できなかったため。同感染症の影響が収束し次第、実験を実施する。
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