研究課題/領域番号 |
18K10826
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
河野 寛 国士舘大学, 文学部, 教授 (40508256)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 筋力トレーニング / 動脈コンプライアンス / 動脈粘弾性 / 左心室機能 |
研究実績の概要 |
本研究は,筋力トレーニングの動脈粘性に及ぼす影響を検討し,筋力トレーニングが動脈弾性を低下させる機序の一端を解明することとした。R4年度は,筋力トレーニングが動脈粘性に及ぼす影響を明らかにするために,筋力トレーニングを実施している若者(R群)と一般若年男性(C群)を比較する横断的研究を実施した。 被験者は,R群10名(19.4±0.7歳,身長176.6±6.9 cm,体重89.5±10.2 kg)であった。安静時心拍数は両群間で有意な差が認められなかった。R群はC群と比較して,収縮期血圧(119.0±8.4 mmHg vs 109.3±4.7 mmHg),拡張期血圧(62.3±4.5 mmHg vs 57.2±5.3 mmHg),平均血圧(90.7±6.1 mmHg vs 76.7±3.4 mmHg)および脈圧(56.7±5.9 mmHg vs 52.1±3.4 mmHg)が有意に高値を示した(すべてp<0.05)。またR群の頸動脈コンプライアンスは有意に低く(0.077±0.023 cm2/mmHg vs 0.127±0.038 cm2/mmHg; p<0.01),βスティフネスが有意に高かった(8.05±1.94 AU vs 6.14±1.90 AU; p<0.05)。動脈粘性については,R群がC群より有意に高値を示した(4376±2140 mmHg・s/mm vs 2104±945 mmHg・s/mm; p<0.05)。また左心室の後壁厚はR群が有意に高かったが(1.38±0.22 cm vs 1.16±0.15 cm; p<0.05),一回拍出量,駆出率および短縮率に有意な差は認められなかった。 この結果から,筋力トレーニングによる動脈硬化(動脈コンプライアンスの低下)には,血圧の増加に加えて,動脈粘弾性の増大が関与している可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍にあって,思うような被験者リクルートが難しかったため。 ただし,陸上部の協力を得て,新たに被験者を測定できたことはよかった。 ただし,まだ分析がすべて終了していないため,R5年度はその分析に注力していく。
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今後の研究の推進方策 |
夏期休業期間や年度末にさらに被験者を増やして,データのエビデンスレベルを高めることに努める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
R4年度に被験者謝礼および出張旅費が少なかったこととが理由として挙げられる。またR5年度は,論文投稿などのアウトプットに使用する予定である。
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