研究課題/領域番号 |
18K10833
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小木曽 航平 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (00711235)
|
研究分担者 |
中嶋 哲也 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30613921)
田邊 元 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 講師 (40758588)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 伝統スポーツ / スポーツ化 / 闘牛 / 竿燈 / ペーロン / 沖縄空手 / 櫂伝馬 / 観光化 |
研究実績の概要 |
1. 実施した研究の概要 最終年度については、沖縄闘牛(11月)の現地調査を実施すると共に、これまでの調査結果を踏まえ、理論的な検討を行った。沖縄闘牛の調査は「第117回秋の全島闘牛大会」の参与観察と関係者への聞き取りを行った。理論的な検討としては、伝統スポーツが文化資源としての価値を明確にする際、スポーツ化と文化遺産化はどのような様相で現れているかについて分析を行った。
2. 研究期間全体の成果 本研究は研究実施期間において新型コロナウイルス感染症のパンデミックに見舞われたことで、当初の計画通りには研究を遂行できなかった。パンデミックという非常事態にあり、各地の伝統スポーツは「不要不急」の行動として制限を加えられた。それでも日本の伝統スポーツの文化資源化をテーマとする本研究にとって、この非常事態が明らかにした重要なことがあった。それは、秋田の竿燈、長崎のペーロン、瀬戸内の櫂伝馬、沖縄の空手や闘牛など、各地の伝統スポーツの担い手らはそれをすることを諦めず、常に実施に向けて模索を続けていたという事実であった。文化資源が地域の活性化に資するものであるとするならば、コロナ禍にあってもなお、その継続を願い、実施に向けて奔走した人々にとって、伝統スポーツは間違いなく自らの地域社会の日常そのものであり、それ無くしては生活の実感が失われるような文化であった。他方で、今回の新型コロナウイルス感染症の流行は、平時から伝統スポーツを持続可能な形で実施ていくための方法や制度を構築しておくことの重要性を明らかにしたといえる。オンラインや非対面といったコミュニケーション方法では意味をなさない伝統スポーツのような文化の社会的機能やその維持の方法について改めて考えていくことが今後ますます重要な課題となるだろう。
|