本研究は、慢性的な睡眠不足(睡眠負債)と身体運動との関連に着目し、睡眠時間の延長によって運動機能が向上する機序の解明を目指すものである。睡眠延長手段として日中の仮眠を3日間連続してとった群を睡眠延長群とし、通常の睡眠習慣を取った群を比較対照群として、スポーツ関連の高次運動機能を評価した。運動学習の指標としてRotation adaptation task(RAT)を課題として採用し、連日の仮眠による睡眠延長(睡眠負債解消)効果を評価検討した。仮眠後の保持テストにおいて、仮眠群が覚醒群よりも有意な所要時間の短縮を認めたことから、継続的な仮眠は運動記憶を長期的に保護・促進する可能性が示唆された。
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