本研究は,年齢や性別の違いがバスケットボールのゲーム構造に与える影響を明らかにし,発達段階や性別に応じた適切な指導法の構築に資する基礎的知見を集積することを目的として行った.また,バスケットボールの国際大会に見られる競技力の地域差にも着目し,年齢や性別の違いに加えて,ゲーム構造の地域差に関する分析を行うことも目的とした. 2019年度までに,1) 男女の年代別(成年,19歳以下,17歳以下)の各世界選手権及びオリンピックにおいて,勝敗判別への寄与が年齢依存的に増加または減少する統計値が見られること,2) 勝敗判別因子における性差が存在すること,3) 成年,18歳以下及び16歳以下の各大陸選手権(アフリカ,アメリカ,アジア,ヨーロッパ)においてゲーム構造の地域差が形成されていることを確認した.これらの成果は国際誌論文(3編)及び国際学会(1報)において公表した. 2020年度には,2010年から2019年までの間に開催された男女の年代別(成年及び17歳以下)の各世界選手権及びオリンピックにおけるショット選択のデータを分析し,ショット選択の性差及び年齢差並びにその経年変化を検討した.その結果,1) 女子では成年の大会と17歳以下の大会のショット選択は類似しているが,男子では差異が見られること,2) 2010年の3ポイントラインに関するルール改正がショット選択に与えた影響は年齢・性別に関わらず10年以内に解消していることが確認できた.この結果を2021年度に論文化して国際誌に投稿したところ,2021年度中に採択・掲載に至った.
|