研究課題/領域番号 |
18K10838
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
沼尾 成晴 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (90454074)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 血液バイオマーカー / 静脈血 / 指尖血 / アディポカイン |
研究実績の概要 |
脂肪酸タンパク質4(FABP4)は、脂肪分解や脂肪酸の輸送などの脂質代謝の調整に関与するタンパク質である。FABP4は血液中にも存在し、その上昇は生活習慣病の危険因子と関連することが知られている。その一方、FABP4は運動による代謝亢進と関連することが示唆されている。しかしながら、運動の代謝亢進とFABP4との関連はこれまでほとんど研究がなされておらず、不明な点が残されている。それらの関連を明らかにすることは、FABP4の生理的役割の解明に繋がると考えられる。そこで、平成30年度では、まず、FABP4の測定手法の確立を目指し、指尖血でFABP4濃度を測定することが可能かどうかを、静脈血のFABP4濃度と比較することで検討した。若年成人男女28名(年齢22.1±1.4歳)を対象とし、前腕静脈および指尖から血液を採取した。採取した血液から、酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて、FABP4濃度を測定した。その結果、指尖血のFABP4濃度と静脈血のFABP4濃度との間に有意差は認められなかった。また、指尖血のFABP4濃度と静脈血のFABP4濃度との間に有意な高い相関係数を認めた。さらに、ブランド&アルトマン分析では、指尖血と静脈血のFABP4濃度間に有意な誤差は認められず、値は95%一致限界内に約93%含まれた。以上のことから、指尖血のFABP4濃度は静脈血のFABP4濃度とおおむね一致し、FABP4濃度測定には静脈血の代替として指尖血が利用できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の研究計画に,大きな変更や問題はなく円滑に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は運動競技者を対象に、種目特性の違いによる血中FABP4濃度の違いについて、本年度の測定方法を利用しながら検討をする予定である。現時点において、令和元年度の研究計画の変更等はなく、研究に向けて準備を進めている段階である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも検査費用および検査委託料が安価で抑えられたため、次年度使用額が生じた。繰り越した次年度使用額は人件費および謝金に使用予定である。
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