研究課題/領域番号 |
18K10840
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
三谷 保弘 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (50567071)
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研究分担者 |
小柳 磨毅 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (20269848)
森 禎章 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (70268192)
境 隆弘 大阪保健医療大学, 大阪保健医療大学 保健医療学部, 教授 (60353009)
松尾 高行 大阪行岡医療大学, 医療学部, 教授 (80643593)
木村 佳記 大阪大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (00571829)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ジャンパー膝 / 膝蓋腱 / 大腿四頭筋 / 超音波画像診断装置 / 超音波エラストグラフィ / 動作解析 / 筋電図 |
研究実績の概要 |
損傷腱に対する適度な遠心性負荷は、腱の治癒を促進するとされている。本研究では、膝蓋腱に対して遠心性負荷を与える効果的な運動様式について検証した。 片膝立ち位から体幹の後傾運動と後脚膝関節の屈曲を行うhalf kneeling exercise(HKE)と、前方傾斜台上での片脚遠心性スクワット(eccentric decline squat: EDS)の運動特性を、三次元動作解析装置と表面筋電計を用いて検証した。膝関節屈曲角はHKEがEDSに比べて有意に高値を示した。また、内側広筋と大腿直筋の筋活動はHKEとEDSとの間に有意差が認められなかったが、外側広筋の筋活動はHKEがEDSに比べて有意に高値を示した。先行研究では、EDSはジャンパー膝の治癒促進に有効であると報告されている。今回の検証により膝関節屈曲角と外側広筋の筋活動はHKEがEDSに比べて有意に高値を示したことから、HKEは大腿四頭筋の張力を増大させ、膝蓋腱の遠心性負荷を高めることが示唆された。 また、HKEとEDSにおける膝関節の角度特性が膝蓋腱の組織弾性に及ぼす影響について検証した。膝関節屈曲角は0°、30°、60°、90°に設定し、超音波画像診断装置のエラストグラフィ機能を用いて膝蓋腱の組織弾性を計測した。その結果、膝関節屈曲0°、30°、60°に比べて90°において膝蓋腱の組織弾性が有意に高値を示した。運動解析により膝関節屈曲角はHKEがEDSに比べて高値を示したことから、膝蓋腱の組織弾性についてもHKEがEDSに比べて高値を示すと考えられた。したがって、膝関節の角度特性からもHKEはEDSに比べて膝蓋腱に遠心性負荷を与える効果的な方法であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三次元動作解析装置と表面筋電計を用いたEDSとHKEの運動特性の解析は、予定通り研究2年目までに検証を終えた。しかし、予定していたEDSとHKEにおける膝蓋腱の組織弾性の計測が困難であったため、膝関節の角度特性と大腿四頭筋の収縮特性による膝蓋腱の組織弾性への影響ついて検証し、得られた結果からEDSとHKEにおける膝蓋腱の組織弾性について推察することを試みた。膝関節の角度特性が膝蓋腱の組織弾性に及ぼす影響については、すでに検証を終えた。現在は大腿四頭筋の収縮特性が膝蓋腱の組織弾性に及ぼす影響について検証している。また、研究2年目までに大腿四頭筋のストレッチング法の違いが膝蓋腱の組織弾性に及ぼす影響について検証することを予定していたが、すでに計測を終えて成果発表の準備へと進めている。運動中の膝蓋骨の後傾角は膝蓋腱の応力に影響を与えることから、現在EDSとHKEにおける膝蓋骨の後傾角の検証を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
大腿四頭筋の収縮特性が膝蓋腱の組織弾性に及ぼす影響について、超音波画像診断装置のエラストグラフィ機能を用いた検証を進める。現在、1/3の計測が終了しており、引き続き全ての対象者の計測を進める。また、EDSとHKEにおける膝蓋骨の後傾角の計測は終了しているため、画像の解析へと進める。得られた研究成果は、関連する学際領域において学会発表ならびに論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に予定していた物品費、旅費、人件費、謝金が一部不要となったため、差額が発生した。2020年度は、計測に伴う物品費、人件費、謝金、成果発表のための学会参加費と旅費、論文投稿に関わる費用が必要となる。
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