研究代表者は昨年度末に、「安静時間の多寡で2分した場合、両群での1年後の血糖管理に有意な差を認めなかったが、腹囲および内臓脂肪の減少に関し、安静時間が多い群は一日の歩数に比して両者が改善したのに対し、安静時間が少ない群では歩数で代表される運動量の増加は両者と関連を示さなかった」という結果を得、外来での運動指導は個々の患者の運動量を増やす画一化した指導より、むしろ早期に安静時間を把握し、安静時間の多寡で指導法を変更する必要があることを考察し、その結果を論文化し、受理された。本年度に同論文が掲載され、現在PubMedで閲覧およびダウンロード可能となっている。 また、本研究で得られた結果を、2021年5月20日から22日にかけて開催された第64回日本糖尿病学会年次学術集会において、「2型糖尿病のウォーキングがBMI、ウエスト周囲長、内臓脂肪面積に及ぼす効果は安静時間の影響を受けるか」の演題名で口演発表を行った。新型コロナウイルス感染症の影響でwebでの発表となったが、多くの質問を得、今後の研究に生かせる機会となった。本学会および10月22日~23日に行われた日本糖尿病学会中国四国地方会第59回総会では、運動療法の研究発表を精力的に聴講し、本研究の発展につなげる機会を活用した。 こうした国内の研究者の発表を通じ、運動指導には患者の筋力の評価が必要であるという新規の課題を見出し、今後この解決へ向けて研究を発展させるべく令和4年度科学研究費助成事業につなげた。
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