本研究は「視覚障害者の運動機能の特徴とバイオフィードバックを用いたトレーニングに関する研究」という課題名で行われた。視覚は運動と密接に関連しており、特にその場での反動動作(一度、その場でしゃがみ込む動作)ありの垂直跳びのような素早い動作は苦手である可能性がある。 視覚障碍者、特に重度の視覚障碍者である全盲者では、運動機能の低下が様々な問題を引き起こす可能性があり、その特徴を明確にすることは重要と思われる。そこで、全盲者の運動機能の特徴を明かにすべく、先天性全盲者と同年齢のの健常晴眼者の反動ありその場垂直跳びを比較した。結果から明らかになったことは、先天性全盲者は動作開始であるしゃがみ込む動作から動作終了のつま先離床まで一貫して動作速度が遅かった。より高く跳ぶには、より力強く床を足裏で押す必要があり、より強く床を押すにはより素早くしゃがみ込んで伸び上がる必要がある。運動学習において、身体の状態を運動している本人によりわかりやすく提示するバイオフィードバックが有効と言われている。今後の研究の計画としては、現在、このバイオフィードバックを用いてのトレーニングの準備を進めている。バイオフィードバックを用いることで、全盲者が、それを用いない時と比較して、より効率よく運動学習が行えるのであれば、スポーツ分野での記録向上にとどまらず、運動機能の低下に起因する日常生活上での事故などを未然に防ぐことができるかもしれない。
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