研究課題/領域番号 |
18K10884
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
酒井 忍 公立小松大学, 生産システム科学部, 教授 (80196039)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スポーツ用具 / 野球 / 卓球 / 投球機 / 球種 |
研究実績の概要 |
本研究では,幅広い球速で,多様な変化球(球種)を高い精度で投球可能な野球用および卓球用高性能投球機(マシン)を開発し,野球では「ツーシーム」をはじめ,魔球とも称される「ジャイロボール」,また,卓球で注目されている「チキータ」等の高度な球種の空力特性や飛翔軌道を解明する.開発するマシンは,球速,スピン数,スピン軸を独立に制御可能な4ローラ式投球機構を用いる.本マシンでは,野球ボールの縫い目を巧みに利用した把持・リリース動作を行う実投手と同様,手の人差指(示指)を模倣した,柔らかく滑りにくい柔剛合わせ持つ剛性可変把持装置と,縫い目を利用して球を発射するローラを新たに開発する.開発した両マシンを用いて,微妙に変化する飛翔軌道や特異なバウンド挙動等,未だ解明されていない高度な球種の秘密を明らかにする. 本年度は,上下2つの発射ローラ,左右2つのジャイロローラを用いた4ローラ式ピッチングマシンを設計,製作した.対向する2つのジャイロローラは,両者の交差角を変更することが可能である.各ローラ回転数と交差角を調整することにより,ツーシームやジャイロボールはもちろん,任意の球速かつスピン数のあらゆる球種(変化球)のボールを投球できることを確認した. また,卓球用4ローラ式発射マシンの基本設計,詳細設計を行った.卓球ボールは,縫い目がないものの低強度で滑りやすい.このため,ボールを4点で適切な力で把持し,精度良く案内できるように,卓球ボールに適した把持装置およびローラ(材質,形状等)を検討した.また,卓球のスピン数は桁違いに高く8000 rpm以上になる.この高スピン数を実現するため,ブラシレスDCモータを用いたインバータ制御を行う.これより,幅広い球速,ドライブやカット,チキータを含むすべての球種を発射可能な卓球用マシンを開発する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幅広い球速,かつ様々な球種(変化球)を投球可能な野球用投球機(ピッチングマシン)を設計・製作できた.当該マシンを用いた投球実験を行った結果,最高球速160km/h,ツーシームやジャイロボールなど高度な球種(変化球)を投球できていることを高速度ビデオの画像から確認した. また,幅広い球速,かつすべての球種を発射可能な卓球用4ローラ式発射マシンの基本設計,詳細設計を行った.卓球ボールに適した把持装置およびローラ(材質,形状等),高スピン数に対応したモータおよび制御装置の仕様を検討した.
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今後の研究の推進方策 |
製作した野球用投球機(ピッチングマシン)の投球性能をさらに向上させるため,ローラ材質やローラ形状をCAEによる投球シミュレーションを用いて最適化し,投球精度を向上することを検討する. 卓球ボールに適した把持装置およびローラ(材質,形状等)を検討し,卓球用4ローラ式発射マシンの製作を実施する.また,製作した卓球マシンを用いた発射実験を行い,幅広い球速,ドライブやカット,チキータを含むすべての球種を高発射精度で発射可能な卓球用マシンを開発する.
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