本研究の目的は,テニス熟練者の優れた予測能力が過去の文脈情報と相手の運動学的情報の両方を重み付けした情報を利用する「ベイズ統合モデル(Kording & Wolpert, 2004)」により支えられているかを明らかにすることである.バーチャルリアリティ(VR)技術により相手の運動学的情報(動作誇張)と選手の文脈情報(コートの位置)を任意に操作し,テニスのフォアハンドショットの打球コースを予測する課題を行った.結果,熟練者の優れた予測能力は,本研究で操作した運動学的情報と文脈情報に影響されることが明らかになった.また熟達によって,予測に利用できる統合情報に違いがある可能性が示された.
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