研究課題/領域番号 |
18K10897
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
小林 勉 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20334873)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スポーツプログラム / 人的ネットワーク / ラグビー |
研究実績の概要 |
スポーツの創出する人的ネットワークが社会開発推進に与えるインパクトを把握する上で有効な「Pass It Back」の事例を取り上げ、 世界と日本のスポーツプログラムとの差異について比較研究することができた。Pass It Backは、国際NGOのChild fundが展開するラグビーとライフスキル学習を組み合わせたスポーツプログラムであり、これまでラオスやベトナム、フィリピンの貧困地域を対象に実施されてきた。Child fundとWorld Rugby、Asia Rugby、Women Winとが連携し、子どもたちが、スポーツを楽しみ、学び、成長する機会を持つ ことができる環境の整備を図りつつ、アジアの厳しい環境に暮らす若年層世代が、日常生活において重要となる様々なライフスキルを、ラグビーを通して学ぶことを目指している。また、学んだことを自分たちのコミュニティに還元する力を習得することによって、現地社会が直面する様々な困難を乗り越え、社会に前向きな変化を起こすことに焦点を定めているのも特徴である。 このようなスポーツの創出する人的ネットワークを活用して社会開発を推進しようとするプログラムに参加する行為は、 単なる娯楽やスポーツ活動としてだけではなく、途上国の地域で教育機会のデリバリーの意味を兼ねている。とりわけ、ラグビーの普及活動を通じた現地若者へのジェンダー平等の啓発活動機会の支援は、たとえ直接の経済効果は薄くても、地域の女性たちを定期的に結集させ、多様な次元 で彼女たちの生活を活性化させる基盤を形成しつつあり、この意味で、Pass It Backにおけるスポーツ実践は、女性の地位向上と密接に結びついているという実態について明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子供の教育に関する世界でも有数のNGOであるChild Fundのプログラム担当者とのネットワーク構築に成功し、相互に情報共有をし合える関係性を構築することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
スポーツの創出する人的ネットワークが社会開発推進に与えるインパクトを把握する上で有効な「Pass It Back」の事例に対して、さらなるフィールドワークを実施しつつ、 世界と日本のスポーツプログラムとの差異について比較研究する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
諸種の業務に時間を取られ、当初の予定より若干短い調査期間をなってしまったため。今年度の残額は翌年度の調査費用に当てる予定。
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