研究課題/領域番号 |
18K10897
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
小林 勉 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20334873)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スポーツ / SDGs / ソーシャル・キャピタル / EBPM / ひとづくり |
研究実績の概要 |
本研究におけるこれまでの研究実績の概要は主に次の2点である。 1.スポーツによる社会関係資本とひとづくりの現在の動向の分析:スポーツによる社会関係資本とひとづくりの現在の動向について検討し、スポーツ振興を司る中央機関での対応策を中心に、スポーツを通していかなる新しい社会の見取り図を構築しようとしているのかについて整理した。 2.EBPMの文脈からみたスポーツ政策の特徴と課題に関する分析:EBPM(統計データや各種指標など、客観的エビデンスを基にして、政策の決定や実行を効果的・効率的に行うこと)のような考え方が世界的に拡大する中、その観点から現在のスポーツ政策に対する動向を検討した。すなわち、EBPMの観点からスポーツ政策を眺めてみると、①ハイパフォーマンス志向(国際大会等での成績向上)のベクトル、②健康増進志向のベクトル、③社会貢献へとつながる「ひとづくり(人材育成)」のベクトルの大きく3つのカテゴリーへの分類が可能である。なかでも①や②においては、先端技術の枠を集めた科学(医学、バイオメカニクス、運動生理学、薬学、栄養学etc.)のもとで選手育成がなされたり、諸種の健康増進の取り組みが推進されるなど、既にEBPMの実践がなされてきている。それに対して、③のベクトルにおいては、政府や政治家、政策立案者らにとってEBPMを実践する上でのKPIの設定も分かりにくく、結果として①や②で作動しうる政府や政治家、政策立案者らにとってのインセンティブもなかなか生じてこないという実際上の問題点について明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で、本研究の主なフィールドとなるバヌアツ共和国において外国人の入国禁止措置が行われたため。
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今後の研究の推進方策 |
バヌアツ共和国のODAである沿岸資源管理プロジェクトを対象に、スポーツが創出する人的ネットワークが社会開発推進に与えるインパクト評価を行う予定である。そして、コミュニティ開発を下支えする「ひとづくり」におけるスポーツの活用可能性について開発コンサルタントと連携しながら、スポーツの活用可能性をEBPMの観点から検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、調査対象地となるバヌアツ共和国への入国が不可能となったため。2022年7月以降、バヌアツ共和国への入国については徐々に緩和される予定なので、順次、現地調査を行う予定である。
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