研究課題/領域番号 |
18K10897
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
小林 勉 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20334873)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スポーツ / SDGs / ソーシャル・キャピタル / 社会開発 |
研究実績の概要 |
本研究におけるこれまでの研究実績の概要は昨年度の報告書において記載したとおりであるが、それらに加えて2022年度は、社会開発プロジェクト(沿岸資源管理)における「スポーツの力」の分析視角の検討を進め、次のような新たな分析視点について導出することができた。 1.沿岸資源管理を適正に行う「協働」の観念を広める力: 基礎学力を有さない住民が多数を占め、それに合わせた啓発活動や動機づけを行なわなければならない状況において、現地の人々にとって理解しやすいサッカーの原理(相互にルールを遵守し、フェアプレイを行う共通点)を沿岸資源管理に応用することで、資源の「先取り要素」が強い水産領域において、乱獲や密猟を抑制する「協働」の観念を醸成するような力を有するのではないかといった分析視点を導出した。
2.「非認知能力」を涵養する力:一定の学歴があっても、学ぼうという姿勢がなかったり、他者とのコミュニケーションが上手くとれなかったりするなど、現地での生き抜く力を有する人材の育成が求められているという課題に現地が直面する中、ややもすれば反目しかねない住民同士の関係性をいかに好転させていくのかという力をスポーツは涵養することができるのではないかといった分析視点を導出した。具体的には意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、 計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった「何かをやり抜くねばり強さ」「自分の感情をコントロールする力」「計画をたてて実行する力」といった非認知能力を涵養することで、現地の状況変化に対応でき、筆頭試験では測定できない個人の非認知能力(スキル)について焦点化することで、社会開発推進にインパクトを与えられる人的ネットワークを創出できるのではないかといった分析視点を導出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で、本研究の主なフィールド対象地において外国人の入国制限措置が行われていたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に外国人の入国制限措置が継続されるようであれば、渡航できる可能性が比較的高いアジア地域に対象地を切り替え、当該地域で展開されるスポーツによる社会開発推進プロジェクトを焦点化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、外国人の入国制限が行われていたとともに、経由地からのフライト本数が大幅に制限されていたため(日本からの直行便はない)。仮に次年度もそのような状況が続くようであれば、研究対象地を渡航可能性が高いアジア地域に切り替えて研究を推し進める予定である。
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