研究課題
昨年度は、当初予定していた3年目の計画を踏襲し、異なる介入頻度の経皮通電刺激の効果を比較、検討した。実際には、64頭のラットを後肢懸垂群(HS)、後肢懸垂期間中に通電刺激を行う通電刺激群(TE)および対照群(CO)に分類し、TEはさらに介入頻度別に1回/週群(TE1)、3回/週群(TE3)および5回/週群(TE5)に分類した。HSおよびTEはケージ内で3週間後肢懸垂し、TEには 大腿前面から経皮的に通電刺激(直流、電圧60V、周波数31Hz、200μsec、周波数80kHzの搬送波を使用)を10分/日,3週間行った。実験期間終了後,各群から大腿骨を摘出し、骨強度の測定および組織学的分析を行った。なお、サンプリング7日前にカルセイン各群に投与した。骨幹中央部の皮質骨の厚さは、HSはCOより減少した。TE1の厚さはHSに近かったが、TE3およびTE5はCOに近い厚さを示した。各群の骨幹中央部の皮質骨縦断像を光学顕微鏡にて観察すると、いずれの面においても皮質骨内には、トルイジンブルー染色にてメタクロマジーを強く起こす、基質が認められた。また、上段の皮質骨前面の骨内膜側、下段の皮質厚面の骨膜側では異なる基質が添加されていた。しかし、HSでは、前面の骨膜側および後面の骨膜側の表面が粗造な状態にあった。これは吸収窩を示すものであり、HSではこのように、後肢懸垂に伴う加重低減によって皮質骨の厚さが減少した。それに対して、TE1ではいずれの面の皮質骨も、骨表面が滑沢な状態にあり、また、介入頻度の増加に伴って骨添加量は増加した。ラット後肢懸垂によって大腿骨骨幹中央部の皮質骨には骨量減少が生じるが、それは1週間に3日以上の経皮通電刺激によって抑制され、骨の脆弱化が防止される可能性が示唆された。
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