研究課題
ガラニン様ペプチド(GALP)は摂食調節作用に関与する生理活性ペプチドである。我々はこれまで、肥満モデルマウスのGALP脳室内投与による、体重および摂食量の減少を確認し、その作用機序を中枢レベルおよび抹消レベルから明らかにしてきた(Kageyama et al., Sci Rep. 2016, Hirako et al., Sci Rep. 2016)。しかし、脳室内投与ではヒトでの臨床応用は難しいことから、簡易的で苦痛を伴わない点鼻投与での応用を目指し、GALP点鼻投与によるエネルギー代謝の詳細を検討することを目的とした。そこで我々は、C57BL/6マウスに高脂肪食餌を14週間自由給餌させることで肥満を誘発させた食事性肥満(DIO)マウスを作成した。さらにマウスの肥満状態を確認後、GALP点鼻投群と対照群に分け、2週間順応させた。その後11日間連続でGALPをマウスに点鼻投与、対照群には生理食塩水をマウスに点鼻投与し、マウスの体重変化の推移を観察した。その後、両群の末梢組織を摘出しメタボローム解析を行った。その結果、GALP点鼻投与群は対照群と比較し、体重増加が有意に抑制された。さらに我々はGALP点鼻投与における体重増加抑制のメカニズムを解析するため、肝臓のメタボローム解析を行った。アシルカルニチンに分類される物質のメタボローム解析の結果、脂肪酸β酸化の亢進が明らかになった。また脂肪酸合成の抑制が明らかになった。さらに、コレステロールおよびステロイド骨格を有する物質の亢進も示唆された。その他、コレステロール、胆汁酸、ステロイドホルモンの増加が確認された。さらにウルソデオキシコール酸の低下がみられ、胆汁酸分泌の促進が確認され、エネルギー消費の促進に寄与していることが考えられた。
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Proteomics Bioinformatics
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日本アロマセラピー学会誌
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