水泳競技は50mから1500mの距離種目で構成され、その競技時間は20秒から15分程度の間で行われ、上肢と下肢の連動によって行われる全身運動であるが、下肢よりも上肢から発揮される推進力が大きいという特徴がある。そのため、上肢筋群に対する高強度トレーニングが必要不可欠である。しかし、水中という特殊な環境で行われる種目であるため、運動中に出したパワーがそのまま推進力につながるわけではなく、動作によっては逆にパフォーマンスや泳効率に悪影響を与える危険性がある。本研究では、そのようなパフォーマンスや泳効率に与える悪影響を最小限にするため、水泳中の上肢運動をシミュレートさせた陸上でのスイムエルゴメータを利用した高強度トレーニングに着目した。そして、そのトレーニング負荷について検討することでスイムエルゴメータを用いた陸上トレーニングのガイドラインを作成することを目的とした。 陸上での立位式のスイムエルゴメータおよびベンチ上に伏臥位姿勢をとるタイプのスイムエルゴメータを用いて、陸上および水泳中における筋電図測定および動作解析、アンケート調査を実施し、筋活動量や筋活動の順序性の側面から動作特性について検討した。 その結果、立位式のスイムエルゴメータは、上肢を挙上させるため僧帽筋の筋活動が優位になることが示されたが、上肢の筋群に対してバランスよく負荷をかけることができ、伏臥位姿勢をとるエルゴメータは広背筋や腹直筋など特定部位の筋に負荷を与えられることが明らかとなった。
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