サルコペニアの早期予防・重症化防止として、【若年】と【患者】に焦点を当てた研究を進めてきた。 ●若年「健常若年者の体力評価:フレイル・ロコモ・サルコペニア診断基準を活用した包括的視点」 【目的】本研究では、3つ(フレイル・ロコモ・サルコペニア)の標準的な診断基準を用いて健常若年者を包括的に評価し、若年期から実施すべき適切な介護予防対策を検討することにした。【結果】男女を対象に各診断基準を用いた結果、(プレ)フレイルは50%と45%、ロコモは0%と21%、(プレ)サルコペニアは14%と16%が該当した。【結論】フレイル・ロコモ・サルコペニアについて若年期の男女を比較した結果、(プレ)フレイルは若年男女でも多く該当すること、また、ロコモの割合は男女で大きな差が生じ、女性で該当しやすい可能性が示唆された。 ●患者「加圧を伴うピアノ演奏が上肢に及ぼす影響:局部神経症状の後遺障害ピアニストに関する1症例」 【目的】加圧を伴うピアノ演奏が局部神経症状の後遺障害ピアニストの上肢に及ぼす影響について検討した。【結果】ピアノ演奏の終了直後に、「加圧あり」の周囲径(前腕:4.0~5.3%、上腕:2.3~3.8%)と握力(-11.8~-5.6%)は大きな変化を示したが、「加圧なし」の周囲径(前腕:-0.2~0.6%、上腕:-0.3%)と握力(-0.2~0.0%)は大きな変化を示さなかった。また、ピアノ演奏中の音量と脈拍の最大値は、2条件で大きな違いは観察されなかった。【結論】加圧を伴うピアノ演奏は、局部神経症状の後遺障害ピアニストに対して実践的な運動トレーニングになり得る可能性が高いと示唆された。 ●これまでの研究によって、将来のサルコペニア罹患率には、若年期の「自分の体型の認識不足」にも原因があると推察された。そのため、最終年度は若年成人女性における痩せ願望の視点から形態・体力評価について研究を進めた。
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