本研究の目的は、電気刺激を用いて下腿三頭筋を収縮させながら連続ジャンプを行うトレーニングを考案し、そのトレーニングが弾性要素(とりわけ腱組織)の機能を向上させ、ジャンプ能力を高めるかどうか、そしてその能力向上が図れた場合には、その機序を下腿三頭筋の動態から明確にすることである。 2020年度は、2019年度までに得られた成果をもとに、1)電気刺激を下腿三頭筋に与えながらのトレーニングは持久的な運動のエネルギー効率を改善するか、2)電気刺激を下腿三頭筋以外の部位にも与えた時、そのトレーニング効果は異なるのか、を明確にし、電気刺激を用いながらのジャンプトレーニングの特徴を明確化させた。 結果として、1)電気刺激を下腿三頭筋に与えながらのトレーニングは持久的な運動のエネルギー効率を改善する、2)下腿三頭筋への電気刺激は「弾む感覚」を得させながらジャンプ能力を向上させるが、大腿部への電気刺激はそのような運動感覚の変化ではなく、筋力を増加させ、ジャンプ能力を向上させる。また、大腿部への電気刺激は、その刺激する筋群に依存して無意識にジャンプ位置(身体)を前後方向に移動させた。 これらの研究は、学内紀要に掲載されるとともに、2020年度に開催されたEuropean College of Sport Scienceで口頭発表され、現在、国際学術誌にも投稿中である。 なお、電気刺激を行いながらのジャンプ中、関与する筋腱複合体がどのような状態にあるのかについての実験はCovid-19感染拡大による影響により実施することができず、今後の課題として残された。
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