本研究は100m走の様な全力疾走で脳や脊髄に生じる疲労の改善を目指し、より高いスプリントパフォーマンスを実現する体性感覚増強技術を開発する目的で行った。走行時の脳や脊髄の疲労を引き起こす可能性のある下肢の体性感覚を電気刺激により増強した結果、10秒×3回の全力スプリント運動における平均パワーが増加した。この平均パワーの増加は疲労の軽減に起因していた。一方最大パワーの変化は生じなかった。この電気刺激により感覚神経で誘発される活動電位の一部は、中枢神経系を介して大腿部の膝関節伸展筋群へ伝達されることが知られている。この膝関節伸展筋群へ伝達される下行性指令は脊髄部への直流電気刺激で更に増強された。
|